学会の過去の大会・抄録をホームページに残すには|特設ページを散らばらせない

学会・研究会の事務局公開 River Tech合同会社

学術集会や例会のたびに、別のドメインや別のサービスで特設ページを立てていると、過去の大会の記録は年ごとに散らばり、数年たつと見つからなくなります。この記事では、本体のホームページに「開催一覧」を作って大会の記録を積み上げる方法を、1回ごとに残すもの、外部の参加登録サービスとの分け方、URLの決め方、古いドメインの扱い、抄録の公開範囲まで、事務局の目線でまとめます。

このテーマのご案内:学会・研究会の事務局の方へ(事務局の仕組みづくり)

結論:大会の記録は、本体サイトの「開催一覧」に積み上げる

先に結論をまとめます。

  1. 本体サイトに「開催一覧」のページを1つ作る。今年の大会も過去の大会も、ここからたどれるようにする
  2. 1回の大会ごとに1ページ。毎年同じ項目(日程・会場・テーマ・プログラム・抄録の扱い・写真・開催報告)でそろえる
  3. 参加登録や演題登録だけを外部のサービスに任せる。大会の案内そのものは本体サイトに置く
  4. URLのルールを決める。毎年新しいページを作り、前の年のページを上書きしない
  5. 古い特設サイトは、保存してから転送する。いきなり閉じない
  6. 抄録の公開範囲は、規程と著者の了解で決める

過去の大会の残し方は、リニューアル前のチェックリストでも項目の1つとして触れています。この記事では、そこを一歩深く掘り下げます。

年ごとの特設ページで起きやすいこと

公開されている学会・研究会のホームページを見て回ると、学術集会や例会のたびに、別のドメインや、無料のサイト作成サービス、イベント告知のサービスにページを立てている例がよく見られます。その年の大会長の教室が準備するので、作りやすい場所に作る。それ自体は自然なことです。

ただ、これが何年も続くと、次のようなことが起きやすくなります。

困ること よくある理由
過去の情報が消える ドメインの更新が止まる、無料サービスのアカウントが放置される、担当の先生の異動で大学のサーバーから消える
検索で古い大会が出る 何年も前の特設ページが残り、今年の大会より上に表示される。古い日程や申込先に会員がたどり着く
会員が探せない 本体サイトから過去の大会へのリンクがなく、「去年のプログラムはどこ?」と事務局に問い合わせが来る
見た目も中身もばらばら 年ごとに作る人が違うので、載っている項目がそろわず、記録として比べにくい

学会にとって、過去の大会のテーマや演題、講演者は、会の歩みそのものです。新しく入会を考えている方や、講演を依頼される先生が「どんな会か」を知る手がかりにもなります。散らばって消えてしまうのは、もったいないことです。

本体サイトに「開催一覧」のページを作る

まず、本体のホームページに「学術集会」「例会・研修会」などの名前で、開催一覧のページを1つ作ります。今年の大会と過去の大会を、同じ一覧に新しい順に並べます。

回・年 会期 会場 大会長 テーマ 状態
第○回(2026年) ○月○日〜○日 ○○会館 ○○ ○○ ○○○○ 参加受付中
第○回(2025年) ○月○日 オンライン併用 ○○ ○○ ○○○○ 開催報告
第○回(2024年) ○月○日〜○日 ○○大学 ○○ ○○ ○○○○ 開催報告

一覧の行をクリックすると、その回のページに移る形にします。「参加受付中」「開催報告」のような状態を付けておくと、今年の案内を探している方と、過去の記録を探している方のどちらにも見やすくなります。River Techが提案用に作った研究会サイトのデモ(架空の団体)でも、開催プログラムの一覧を「受付中」「開催報告」で絞り込める形にしています。

トップページには「次回の学術集会」へのリンクを1つ置き、そこから開催一覧へも行けるようにしておくと、迷う方が減ります。

1回の大会ごとに残すもの

1回ごとのページは、毎年同じ項目でそろえます。開催の前と後で、載せる中身が変わります。

項目 開催前 開催後 公開の目安
日程・会場・テーマ・大会長 載せる そのまま残す 一般公開
開催案内(ご挨拶・参加区分・参加費の案内) 載せる 「受付は終了しました」に書き換え 一般公開
プログラム・演題の一覧 決まりしだい 確定版に差し替え 一般公開が多い
抄録 会の方針しだい 方針に沿って残す 下の「抄録の公開範囲」を参照
写真 ― 数枚を選んで載せる 写っている方の了解の範囲で
開催報告 ― 参加の様子、受賞者、次回の予告 一般公開
問い合わせ先 大会の担当窓口 学会事務局に書き換え 一般公開

見落としやすいのは、最後の問い合わせ先です。大会の期間中は担当の教室が窓口になりますが、終わったあとも教室の連絡先が残っていると、何年もあとに問い合わせが届いてしまいます。開催が終わったら、事務局の連絡先に書き換えておきましょう。

大会の担当の方に渡す「提出物の表」

大会の担当は毎年替わるので、事務局から「大会が終わったら、これを送ってください」という表を渡しておくと、記録がそろいます。

  • プログラムの確定版(PDF)
  • 抄録集、または抄録の公開範囲について決めたこと
  • 写真(掲載してよいものだけを選んで)
  • 開催報告の文章(数行で十分です)
  • 参加登録に使ったサービスから保存したもの(事務局で保管するもの)
  • 提出の期限(例:閉会から1か月以内)

参加登録・演題登録を外部のサービスで受け付けるとき

参加登録や演題登録、参加費の支払いは、外部のサービスを使うと便利です。その場合も、大会の案内そのものは本体サイトに置き、登録の入口だけを外部へつなぐのがおすすめです。

  1. 本体サイトの大会ページに、受付期間と「登録は外部のページで行います」という一文を書く
  2. 登録のボタンから、外部サービスの登録ページへつなぐ
  3. 締め切ったら、ボタンを外して「受付は終了しました」に書き換える
  4. 事務局で必要な記録(参加者の一覧、領収の記録など)を、外部サービスから保存する
  5. 大会ページは開催報告のページに切り替えて、そのまま残す

こうしておくと、外部サービスの使い方が年によって変わっても、大会の記録は本体サイトに残り続けます。外部サービスのアカウントが大会長の教室の名義になっていることも多いので、保存までを大会の締めくくりの作業に入れておくと安心です。会費や参加費の受け付け方そのものは、入会申込と会費・参加費をオンラインで受け付ける方法で比べています。

URLのルールを決める

URL(ページの住所)は、最初にルールを決めておくと、毎年迷いません。

  • 開催一覧:/meetings/ のように1つに決める
  • 1回ごとのページ:/meetings/2026/ のように年を入れる(同じ年に複数回あるなら /meetings/2026-spring/ など)。回数で付ける場合も、どちらかに統一する
  • PDFのファイル名:2026-program.pdf のように年と中身がわかる名前にする

よくある失敗は、「大会のご案内」という1つのページを、毎年上書きしてしまうことです。前の年の案内が消え、去年の大会を載せた論文やスライドのリンクが、今年の大会の案内を指すことになります。毎年新しいページを作り、前の年のページは開催報告として残す、と覚えておいてください。

古い特設サイト・ドメインの扱い

すでに過去の大会が別のサイトに散らばっている場合は、次の順で整理します。

  1. 一覧を作る:過去の特設サイトのURL、使っているサービス、ドメインの名義と更新日を書き出す
  2. 保存する:プログラム、抄録、写真、案内文を、消える前に事務局で保存する
  3. 本体サイトに移す:保存したものから、開催一覧の各回のページを作る
  4. 転送する:自分たちで設定できるドメインなら、古いURLから本体サイトの該当する回のページへ転送(301リダイレクト。古い住所に来た人を新しい住所へ自動で案内する設定)をかける
  5. 閉じる・手放すかを決める:転送の様子を見て、検索の結果が本体サイトに切り替わってから判断する
古いサイトの状態 対応の目安
団体で管理できるドメイン 転送をかけ、しばらくドメインを持っておく
無料サービスのページ(転送できない) トップに「本体サイトへ移りました」とリンクを残すか、保存後に非公開にする
名義が前の担当の先生のまま 連絡がとれるうちに保存と名義の確認を。整理の手順は事務局の引き継ぎチェックリストも参考に
すでにドメインが切れている 手元やネット上に残っている資料を集め、本体サイトに作り直す

ドメインを手放すと、他の人が取得できるようになります。古いスライドや論文に載ったURLから、会と関係のないページに飛ぶおそれもあるため、手放す時期は慎重に決めてください。

抄録の公開範囲と著者の了解

抄録や写真は、「どこまで公開してよいか」を先に決めておく必要があります。考え方の一例です。

中身 分け方の一例
演題名・演者名・所属 一般公開
抄録の本文 会員限定、または一般公開
発表スライド・講演の録画 会員限定、または公開しない
写真 写っている方の了解の範囲で一般公開

抄録の著作権が誰にあるか、どこまで公開できるかは、投稿規定や会の規程によって異なります。ここは断定できないところなので、今の投稿規定に公開範囲が書かれているかをまず確かめ、書かれていなければ、理事会や顧問の方と相談して決めてください。決めたことは、演題を登録する画面や投稿規定に書き、登録の時点で著者の方の了解を取っておくと、後から「公開をやめてほしい」と言われたときにも落ち着いて対応できます。

医療系の会では、抄録や写真に症例の画像や患者さんがわかる情報が入っていないかも確かめます。個人情報の扱いは、厚生労働省などのガイダンスや会の顧問の方にご確認ください。気をつける点は医療系の学会・研究会のホームページの注意点にまとめています。会場の写真は、撮影していることを当日に案内しておくと、掲載の判断がしやすくなります。

自分の会で確かめる3つの質問

  1. 3年前の大会のプログラムを、本体のホームページから3回のクリック以内で開けますか?
  2. 過去の大会の特設サイトのドメインは、誰の名義で、いつ更新ですか?
  3. 抄録をどこまで公開するか、投稿規定に書いてありますか?

ひとつでも「わからない」があれば、そこが最初に手をつけるところです。

散らばった大会ページを1枚の改善案に

「どこに何があるか、もう把握しきれていない」という場合は、River Techの学会・研究会の事務局向けのご案内から、ホームページの改善案をご相談ください。今の本体サイトと、年ごとの大会ページの散らばり具合を見て、開催一覧にどう集めるか、どの古いURLをどこへ転送するかを1枚にまとめてお渡しします。大会の準備や会費の受付など、事務局の作業全体を見直したい場合は、「棚卸し診断」(オンライン45分・15,000円(税込)・「手間の地図」1枚)もご利用いただけます。今お使いの参加登録のサービスや名簿は、できるだけそのまま活かす前提です。

よくある質問

過去の大会の特設サイトのドメインは、いつまで持っておけばよいですか?

一般には、本体サイトへの転送をかけたうえで、検索結果が本体サイトのページに切り替わるまでは残しておくのがおすすめです。手放したドメインは他の人が取得できるため、古い論文やスライドに載ったURLから無関係なページに飛ぶおそれもあります。費用と相談しながら、数年は持っておく会も少なくありません。

大会ごとに担当の教室が変わります。ページは誰が作ればよいですか?

開催ページの「器」は学会事務局が本体サイトに用意し、中身(プログラム・案内文・写真)は大会の担当の方から事務局へ送ってもらう分担がおすすめです。毎年同じ項目の表を渡しておくと、担当が替わっても、そろった形で積み上がっていきます。

抄録集は会員限定にしたほうがよいですか?

会によって考え方が分かれます。演題名と演者の一覧は一般公開、抄録の本文は会員限定、という分け方もよく見られます。どの範囲で公開するかは、投稿規定や会の規程に書いておき、演題を登録する時点で著者の方の了解を取っておくと、後から迷わずに済みます。

参加登録に使った外部サービスのページは、大会のあとどうすればよいですか?

参加者の一覧や領収の記録など、事務局で必要なものを先に保存してから、受付を閉じます。本体サイトの開催ページからは登録のリンクを外し、「受付は終了しました」と書き換えます。外部サービスのアカウントが担当の教室の名義になっている場合は、保存を大会の締めくくりの作業に入れておくと安心です。

散らばっている過去の大会ページの整理を相談できますか?

はい。River Techでは、今のホームページと大会ページの散らばり具合を見て、どこに何を集めるとよいかを、ホームページの改善案として1枚にまとめてお渡ししています。作り直すかどうかを決める前の段階でも大丈夫です。

学会・研究会の事務局の方へ

今のやり方を活かして、事務局の手間をひとつずつ減らします。

ホームページ・会員ページ・動画配信・申込受付・会費・名簿まで、今お使いの表を活かしてつなぎます。まずは棚卸し診断(オンライン45分・15,000円(税込))で、今の事務作業を「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。