学会・研究会のホームページをリニューアルする前のチェックリスト11項目
学会・研究会のホームページが「古い」と感じたとき、まず見直したいのはデザインよりも、スマホで読めるか・安全な通信(https)か・今の案内になっているか・事務局で更新できるかの4点です。この記事では、リニューアル(作り直し)の前に確かめたい11項目を、確かめ方と一緒にまとめました。最後に、集めておくものと進める順番も載せています。
結論:見た目より先に「読める・安全・正しい・回せる」
先に結論をまとめます。
- 見た目の古さは、困りごとの一部にすぎません。多くの場合、本当に困るのは「スマホで読めない」「申込の場所がわからない」「更新できる人がいない」といった点です
- リニューアルで見落としやすいのは、ドメインの名義と旧URLからの転送です。ここを後回しにすると、作り直したあとに困ることがあります
- 「誰が、何を、どう更新するか」を決めないまま作り直すと、数年後にまた同じ状態に戻りがちです
下の11項目のうち、当てはまるものが多いほど、作り直しを考える時期といえます。
リニューアル前のチェックリスト11項目
1. スマホで読めるか
ご自身のスマートフォンで、トップページと大会案内のページを開いてみてください。文字を指で広げないと読めない、横にはみ出す、ボタンが小さくて押しにくい、といった場合は対応が必要です。会員の方が移動中や学会の会場でスマホから見ることは、一般に少なくありません。
2. アドレスが https になっているか
ブラウザのアドレス欄が https:// で始まっているかを確かめます。http:// のままのサイトでは、多くのブラウザで「保護されていない通信」などの表示が出ます。SSL(通信を暗号化する仕組み)が入っていないと、申込フォームに入力していただくのも不安に感じられてしまいます。
3. 最後の更新はいつか、更新できる人がいるか
お知らせ欄の最新の日付を見てください。何年も前のままなら、「この会は今も活動しているのかな」と思われることがあります。あわせて、次のことも確かめます。
- 今、更新の操作ができる人は誰か
- 更新を業者さんに頼んでいる場合、連絡先と頼み方がわかっているか
- 作った方(前の役員の方や業者さん)と、今も連絡がとれるか
4. 古い表記が残っていないか
更新が止まっているサイトには、次のような古い情報が残りがちです。
- 役員・理事の名前、会長のあいさつ
- 事務局の住所・電話番号・メールアドレス
- 終わった大会の「参加受付中」や、「準備中」のままのページ
- 年会費の金額、振込先、規約の古い版
- 元号と西暦がページごとにばらばらな日付
5. 申込・入会までの道筋がわかるか
はじめて訪れた方が、入会や大会参加の申込まで迷わずたどれるかを見ます。トップページから何回押せば申込の場所に着くか、実際に数えてみるとわかりやすいです。申込用紙をダウンロードして印刷し、郵送やFAXで送る形しかない場合は、フォームで受け付ける方法も考えてみてください。
6. 会員ページの仕組みはどうなっているか
会員限定のページがある場合、入り方を確かめます。全員で同じパスワードを使っている場合、退会した方も見られたままになることがあります。会員ページの作り方は、別の記事やサービスのご案内(会員制サイト・動画配信)でも紹介しています。
7. 過去の大会・抄録をどう残すか
過去の大会の案内やプログラム、抄録は、学会にとって大切な記録です。リニューアルのときに消えてしまわないよう、次を決めておきます。
- 何年分を新しいサイトに載せるか
- ページとして載せるか、一覧とPDFにするか
- 公開してよい範囲(団体の規程や、著者の方の了解)
8. ドメインとサーバーの名義・契約を確かめる
リニューアルで、いちばん後回しにされやすい項目です。
- ドメイン(
〇〇.jpのようなサイトの住所)は、誰の名義で、どこの会社で、いつまで契約しているか - サーバー(サイトのデータを置く場所)は、誰が契約し、誰が支払っているか
- 管理画面に入るためのIDやパスワードを、団体として把握しているか
前の役員の方や、以前の業者さんの名義のままになっていることは珍しくありません。更新の期限が切れると、サイトやメールが使えなくなったり、ドメインを他の人に取られたりすることがあります。名義を団体に移す手続きは、リニューアルより先に進めておくと安心です。
9. 旧URLから新しいページへ転送できるか
旧サイトのページのURLは、論文やスライド、他の団体のリンク集、名刺などに載っていることがあります。作り直してURLが変わると、そこから来た方は「ページが見つかりません」の画面になってしまいます。
これを防ぐのが、301リダイレクト(古いURLを開くと、新しいページへ自動で案内する設定)です。一般に、検索エンジンにも「ページが引っ越した」と伝わるため、検索での見つかりやすさを引き継ぐうえでも大切とされています。そのために、今のサイトのページの一覧を作っておきましょう。
10. 検索で見つかるか、誰にでも読みやすいか
- 会の名前で検索したとき、公式サイトが出てくるか
- ページごとに、内容がわかるタイトルがついているか
- 写真や図に、内容を説明する文章(代替テキスト)がついているか
- 文字が小さすぎないか、背景との色の差は十分か
- 大切な案内が、PDFや画像の中だけに書かれていないか
最後の点は見落とされがちです。案内をPDFだけで載せていると、スマホで読みにくく、検索でも見つかりにくくなることがあります。本文にも要点を書いておくと、どちらにも役立ちます。
11. 誰が、何を、どう更新するかを決めておく
作り直しで最も大切なのが、運用の設計(公開後の回し方を決めること)です。
| 更新するもの | 頻度の目安 | 担当 | やり方 |
|---|---|---|---|
| お知らせ | 必要なときに | 事務局 | 管理画面や表から |
| 大会・研修会の案内 | 開催ごと | 事務局・大会担当 | 決まった形に入力 |
| 役員・会員の一覧 | 変更があったとき | 事務局 | 名簿から反映 |
| 規約・会費 | 改定のとき | 事務局・業者 | 原稿を渡す |
表の「担当」と「やり方」が埋まらない項目は、作り直したあとにまた止まりやすいところです。担当の方が替わっても回せるよう、手順を書いたマニュアルもあわせて残しておきます。
チェック結果の見方
| 当てはまる項目 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 1・2 のどちらか | 優先して直したい項目です。今のサイトのままで直せるかを、まず確かめます |
| 3・4・11 | 中身の更新と、更新の担当決めが先です。作り直すなら、事務局で更新できる形にします |
| 5・6 | 申込や会員の仕組みの見直しです。ホームページだけでなく、名簿や受付の流れと一緒に考えます |
| 7・8・9 | 作り直すときに必ず準備したい項目です。リニューアルの前に済ませておきます |
リニューアル前に集めておくもの
作業を始める前に、次のものをそろえておくと、話が早く進みます。
- 今のサイトのURLと、ページの一覧(わかる範囲で大丈夫です)
- ドメインとサーバーの契約者・契約先・更新の期限
- 管理画面のIDなど、ログインに必要な情報の保管場所(パスワードそのものは、メールに書かずに安全な方法でお渡しください)
- 会のロゴ、正式な名前(日本語・英語)、事務局の連絡先
- 役員の名簿、規約、会費、入会の手順など、載せる内容の最新版
- 過去の大会の資料と、新しいサイトに残したい範囲
- 写真(使ってよいか確かめたもの)
- 「参考にしたい他の団体のサイト」があれば、そのURL
- 更新を担当する方の名前と、パソコン操作にどのくらい慣れているか
進める順番
- 今のサイトを点検する:上の11項目を確かめ、困っている点を書き出します
- 名義と契約を整える:ドメイン・サーバーの名義と期限を確かめ、必要なら団体名義に移します
- 残すものを決める:ページの一覧を作り、新しいサイトに移すもの・まとめるもの・やめるものに分けます
- 運用を決める:誰が、何を、どう更新するかを決めます(上の表が使えます)
- 構成とデザインを決める:はじめての方が迷わない順番に、ページを並べます
- 作って確かめる:スマホ・パソコンの両方で表示を確かめ、申込フォームも試しに送ってみます
- 公開と転送:公開と同時に、旧URLからの転送(301リダイレクト)を設定します
- 公開後に見直す:更新の手順どおりに回せているか、しばらく様子を見ます
順番のポイントは、2〜4を作り始める前に済ませることです。デザインから先に決めたくなりますが、名義や運用が決まっていないと、あとで手戻りが起きやすくなります。
River Techの例
River Techがこれまでに制作したサイトから、学会・研究会のリニューアルを考えるときに参考になりそうなものを紹介します。
- JIP 公式ホームページ:歯科医師の会員制医療教育団体のサイトです。名簿のスプレッドシートから会員一覧(約250名)をサイトへ自動で反映し、会員だけが見られる講義動画のページと、申込フォーム(申込者への自動返信と事務局へのお知らせ)を備えています。チェックリストの5・6・11にあたる部分です
- 野口歯科学研究所 歯科部会:歯科治療技術の検討や歯科ホットライン、技術資料の公開を行う部会のホームページです。ホームページと相談窓口を制作しました
- 研究会サイトのデモ:医療者が学ぶ研究会の公式サイトを想定して、提案用に制作したデモです(団体と内容はすべて架空です)。開催プログラムの一覧や、会員ページの見本をご覧いただけます
名簿から更新されるホームページや、申込・会費の受付をつなぐ仕組みについては、学会・研究会の事務局の方へのページでまとめています。ホームページ制作の進め方はホームページ制作のご案内をご覧ください。
「作り直すべきか、今のサイトを直せば足りるのか」がわからない段階でも大丈夫です。River Techでは、今のホームページを見て、直すとよい点を1枚にまとめてお渡ししています。チェックリストを試してみて迷ったところがあれば、あわせてご相談ください。
よくある質問
見た目が古いだけなら、リニューアルしなくてもよいですか?
スマホで読める、https になっている、案内が今の内容になっている、事務局で更新できる。この4つがそろっていれば、急いで作り直す必要はないことも多いです。見た目より先に、本文のチェックリストで困っている点がないかを確かめてみてください。
ドメインが前の役員の方の名義になっています。どうすればよいですか?
まず、登録している会社(ドメインの管理会社)と、更新の期限を確かめます。そのうえで、名義を団体に移す手続きを、名義人の方にご協力いただいて進めるのが一般的です。リニューアルの作業より先に済ませておくと安心です。
過去の大会の抄録は、全部新しいサイトに移す必要がありますか?
全部を移す必要はありません。「何年分を、どこまで公開するか」を先に決め、古いものは一覧とPDFだけにする方法もあります。公開の範囲は、団体の規程や著者の方の了解も確かめてください。
旧サイトのURLは、論文や名刺にも載っています。変わっても大丈夫ですか?
旧URLから新しいページへの転送(301リダイレクト)を設定すれば、古いURLから来た方も新しいページにたどり着けます。そのためにも、リニューアル前に旧サイトのページの一覧を作っておくことをおすすめします。
自分たちのサイトで何を直せばよいか、まず見てもらうことはできますか?
はい。River Techでは、今のホームページを見て、直すとよい点を1枚にまとめてお渡ししています。作り直すかどうかを決める前の段階でも大丈夫です。