歯科の研究会・スタディグループのホームページに必要なもの

医療系の学会・研究会公開 River Tech合同会社

歯科の研究会やスタディグループのホームページは、最初から全部そろえる必要はありません。この記事では、会の段階に合わせて「何を、どの順番で」用意すればよいかを、公開ページ・会員一覧・会員限定の講義動画・セミナー申込の順にまとめます。必要なもの・なくてもよいものの表、準備するもの、制作会社に聞いておきたい質問もあわせて紹介します。

このテーマのご案内:医療系・歯科系の学会・研究会の方へ

結論:4つの段階で、必要になったものから足す

歯科の研究会・スタディグループのホームページは、次の順番で育てていくと無理がありません。

  1. 公開ページ:会の紹介、セミナー・例会の案内、入会案内、問い合わせ先
  2. 会員一覧:会員の先生と医院の一覧。名簿と合わせ続けられる形にする
  3. 会員限定の講義動画・資料:セミナーの録画やスライドを、会員だけが見られる場所に置く
  4. 申込・会費:セミナーの申込フォーム、参加費や年会費の受け付け

どの段階でも大切なのは、事務を担当する方が、今のやり方のまま続けられることです。機能の多さより、「誰が・どこを直せば済むか」で選ぶと失敗が減ります。

歯科の研究会・スタディグループは、どんな人が運営しているか

一般に、歯科の研究会やスタディグループの会員は、開業医の先生方が中心です。勤務医の先生、歯科衛生士・歯科技工士の方が加わる会もあります。代表の先生(主宰の先生)が中心になって会を運営し、事務は代表の先生の医院のスタッフの方が、診療の仕事と兼務で受け持っていることがよくあります。

この形の会には、ホームページを考えるうえで次のような特徴があります。

  • 事務の時間が限られている。 受付や診療補助の合間に、申込の確認や名簿の更新をしています
  • 会員の先生はスマホで見ることが多い。 診療の合間や夜に、セミナーの日程や録画を確かめます
  • 担当の方が替わりやすい。 スタッフの方の異動や退職で、やり方がわからなくなることがあります
  • セミナーは実習(ハンズオン)や症例検討が中心。 定員、持ち物、症例写真の扱いなど、決めることが多めです

そのため、ホームページの更新や名簿の管理に「専門の担当者がいる」前提で作ると、公開後に止まってしまいがちです。

必要なもの/なくてもよいもの

最初の段階で迷いやすいものを、表にまとめました。会の規模や活動内容によって変わるので、目安としてご覧ください。

項目 必要なもの なくてもよいもの(あとからで十分)
会の紹介 設立の趣旨、代表の先生、活動内容、事務局の連絡先 長い沿革、役員全員の詳しい紹介
セミナー・例会 次回の日程・会場・対象・定員・申込方法 過去すべての開催記録(直近の開催報告から始めれば十分)
入会案内 入会の条件、会費、申込方法 入会から会員ページ開設までの完全な自動化
会員一覧 載せる項目を決めた一覧(医院名・地域など) 詳しいプロフィール、会員ごとの個別ページ
会員限定の動画・資料 録画やスライドを置く場所と、見られる人の決め方 動画の検索機能、視聴履歴の記録
セミナー申込 申込フォーム、申込者への自動返信、事務局へのお知らせ 席の選択、複雑な割引の計算
会費・参加費 支払い方法の案内(振込でも可) 最初からのカード決済(申込をオンラインにしてからで十分)
お知らせ 事務局が自分で書ける画面 会員へのメール・LINEでの一斉通知(会員が増えてから)

「なくてもよいもの」は、要らないという意味ではありません。会員が増えた、録画がたまってきた、事務の手間が増えてきた、というタイミングで足せるように、最初の設計で余地を残しておくのがおすすめです。

段階1:まず公開ページを整える

最初に必要なのは、会のことを外の人に伝える公開ページです。入会を考えている先生、講師をお願いしたい先生、会場の担当者など、会員以外の人が見るページです。

載せたいのは、会の紹介、セミナー・例会の案内、開催報告、入会案内、問い合わせ先です。スマホで日程と申込方法がすぐわかるように、トップページに「次回のセミナー」を大きく出すと、問い合わせが減ります。

River Techが制作した一般財団法人 野口歯科学研究所 歯科部会のホームページは、歯科治療技術の検討や歯科ホットライン、技術資料の公開を行う部会のホームページです。会員の仕組みよりも、情報の発信と相談窓口を中心にしたサイトで、「段階1をしっかり作る」形の一例です。

なお、研究会のサイトでも、会員医院の紹介や治療についての説明を載せる場合は、表現によっては医療広告の考え方に関わることがあります。厚生労働省の医療広告ガイドラインを確かめ、判断に迷うときは専門家にご相談ください。

段階2:会員一覧は「名簿に合わせ続けられるか」で選ぶ

会員一覧は、会員の先生にとっては「この会に入っている」ことを示す場所になり、地域の医院を探す方にとっては手がかりにもなります。一方で、事務局にとっては名簿が変わるたびに直す必要があるページです。

会員一覧の更新のしかたは3つ

方法 事務局の作業 気をつけること
制作会社に更新を頼む 入会・退会のたびに依頼のメールを送る 依頼の手間と費用がかかり、反映が遅れやすい
管理画面で自分で直す 名簿と一覧の両方を直す 二重の作業になり、どちらかを直し忘れやすい
名簿から自動で反映する 名簿を直すだけ 最初に、名簿の形と載せる条件を決める必要がある

River Techが制作したJIP 公式ホームページ(歯科医師の会員制医療教育団体)では、名簿のスプレッドシートから、会員一覧(約250名)をサイトへ自動で反映しています。名簿を直せば、一覧も変わる形です。

名簿から反映するときに決めておくこと

  • 正本の名簿を1つに決める。 いちばん正しい元の名簿がどれかを決め、一覧はそこから作ります
  • 載せる条件を決める。 「掲載してよいと確かめた先生だけ」「退会・会費の未納の方は外す」など
  • 名簿は「1行=1人」にする。 メモや合計の行が混ざると、そのまま会員として載ってしまうことがあります
  • 載せる項目を絞る。 氏名、医院名、地域くらいまでにし、生年月日・住所・電話番号は載せません
  • 医院のホームページへのリンクは、確かめたものだけ。 間違ったリンクより空欄の方が、会員の先生の信用を守れます

会員一覧を公開ページに置くか、会員ページの中に置くかも、ここで決めます。会員限定ページ全体の作り方は「学会・研究会のホームページに会員限定ページを作る方法と選び方」で比べています。

段階3:会員限定の講義動画・資料

セミナーの録画やスライドを、参加できなかった会員の先生にも見てもらいたい、という声は多く聞かれます。JIP 公式ホームページにも、会員だけが見られる講義動画のページがあります。

配信の方法(動画サービスの限定公開、会員ページへの埋め込みなど)の比べ方と、講演者の同意のとり方は「学会・研究会の講演録画を会員限定でオンデマンド配信する方法」にまとめています。ここでは、歯科の会で特に気をつけたい点だけを挙げます。

  • 症例写真・口腔内写真・エックス線画像。 患者さんを特定できる情報(氏名、日付、医院名、顔など)が写っていないか、公開前に講師の先生と確かめます。患者さんの同意がどの範囲までかも確認が必要です
  • 実習(ハンズオン)の録画。 手元の映像に、参加者の顔や名札が映り込んでいないか確かめます
  • 動画の追加を、事務の方が一人でできるか。 「一覧表に1行足せば動画が増える」くらいの手軽さにしておくと、続けやすくなります
  • 入れなかった会員の行き先。 ログインできない先生が困らないよう、問い合わせ先を画面に書いておきます

医療情報や患者さんの同意の扱いは、所属先の指針や関係する法令によって変わります。判断に迷う場合は、専門家への確認をおすすめします。

段階4:セミナーの申込フォームと会費

申込をFAXやメールで受けていると、届いた内容を一覧表に書き写す手間が事務局に残ります。申込フォームにすると、申込者への自動返信と、事務局へのお知らせが同時に届き、書き写しが要らなくなります。JIP 公式ホームページの申込フォームも、この2つを備えています。

歯科のセミナーでは、フォームに次の項目を入れておくと、あとの確認が楽になります。

  • 職種(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・スタッフなど)と、会員・非会員の区分
  • 医院名と、同じ医院からまとめて申し込む人数(院長の先生がスタッフの方の分も申し込むことがよくあります)
  • 実習の有無、持ち物、定員に達したときの扱い
  • キャンセルの締め切りと連絡先

参加費や年会費は、最初は振込のままでもかまいません。申込をオンラインにしてから、決済を足すのがおすすめです。受け付け方の比べ方は「学会・研究会の入会申込と会費・参加費をオンラインで受け付ける方法」をご覧ください。

準備しておくもの

制作会社に相談する前に、次のものを手元にそろえておくと話が早く進みます。

  • [ ] 会の紹介文(設立の趣旨、活動内容)と、代表の先生のお名前・肩書き
  • [ ] 直近のセミナーの案内(チラシやメールの文面で十分です)
  • [ ] 今の名簿(どの項目があるか、誰が直しているか)
  • [ ] 会員一覧に載せたい項目と、会員の先生に掲載の確認がとれているか
  • [ ] 録画や資料の保存場所と、講師の先生の同意のとり方
  • [ ] 入会・退会・会費の未納のときの扱い(会の決まり)
  • [ ] ホームページを更新する方(医院のスタッフの方など)と、使える時間

よくある落とし穴

  • 会員一覧に、退会された先生が残っている。 名簿と一覧を別々に直していると起きやすくなります
  • 事務の担当の方が替わって、更新が止まる。 やり方が一人の頭の中にしかない状態です。手順を画面つきで残しておきます
  • 動画のURLが、会員以外に広がる。 限定公開のURLだけに頼ると、転送された先でも見られることがあります
  • ドメインやサーバーが、代表の先生の個人名義のまま。 代表の交代のときに困らないよう、名義と連絡先を確かめておきます

制作会社に聞いておきたい質問

  1. 名簿が変わったとき、会員一覧はどうやって変わりますか? 事務局は何をすればよいですか?
  2. 会員限定の動画は、退会した会員が見られなくなりますか?
  3. 申込フォームの内容は、どこに届き、どこに残りますか?
  4. 更新する人が触る画面は、いくつになりますか? 手順書はありますか?
  5. 契約が終わったら、名簿やデータはどこに残りますか?

公開後の運用で差がつく質問は「学会のホームページ制作会社の選び方|公開後の運用で差がつく8つの質問」で、よい答えの例と一緒にくわしく紹介しています。

自分の会で確かめる3つの質問

  1. いちばん正しい名簿は、どれで、誰が直していますか?
  2. 入会・退会があったとき、ホームページで直す場所はいくつありますか?
  3. 事務の担当の方が明日替わっても、セミナーの案内を載せられますか?

どれか一つでも答えに迷ったら、ホームページの前に「今の手間」を整理すると、何から作ればよいかがはっきりします。

River Techでは、医療系・歯科系の研究会やスタディグループの事務局の方に向けて、「棚卸し診断」をご用意しています。オンライン45分・15,000円(税込)で、名簿、申込、会員一覧、動画の置き場所など、今の作業のどこに手間がかかっているかを伺い、「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。今の名簿ややり方を活かすこと、既製のサービスが合う場合は正直におすすめすることを大切にしています。くわしくは「医療系の学会・研究会の方へ」のページをご覧ください。

よくある質問

会員が30人ほどのスタディグループでも、ホームページは必要ですか?

会の紹介とセミナーの案内、問い合わせ先が載った公開ページがあるだけでも、入会を考える先生や講師の先生に会のことを伝えやすくなります。会員一覧や会員限定の動画は、会員が増えてきたり、録画がたまってきたりしてから足せば十分です。

会員一覧に、会員の先生の医院のホームページへのリンクを載せてもよいですか?

載せる前に、会員の先生ご本人に掲載してよいかを確かめておくことが大切です。リンク先は医院名と所在地を確かめたものだけにし、確かめられないものは空欄にしておく方が安心です。医院の紹介文や治療の説明を添える場合は、医療広告の考え方に関わることがあるため、厚生労働省の医療広告ガイドラインを確認し、迷うときは専門家にご相談ください。

症例を含むセミナーの録画を、会員だけに見てもらうことはできますか?

会員ページ(ログインした会員だけが入れるページ)の中に動画を置けば、見られる人を会員に限ることができます。ただし公開の前に、口腔内写真やエックス線画像などに患者さんを特定できる情報が写っていないか、患者さんの同意の範囲に収まっているかを、講師の先生と確かめてください。扱いに迷う場合は、所属先の指針や専門家への確認をおすすめします。

事務を手伝ってくれている医院のスタッフでも、ホームページを更新できますか?

更新する場所を「お知らせを書く画面」と「名簿の表」の2か所程度に絞れば、パソコンが得意でない方でも続けやすくなります。制作を頼むときに、誰が・どの画面で・何を直すのかを先に決めておくと、担当の方が替わっても回ります。

医療系・歯科系の学会・研究会の方へ

症例写真や患者さんの情報に気を配りながら、会員サイトと事務の手間を整えます。

会員の先生方への案内、会員限定の講義動画、セミナーの申込、名簿と連動する会員一覧まで。歯科医師・医師の団体のサイトをつくってきた経験をもとに、今のサイトの改善案を1枚にまとめてお渡しすることもできます。