学会・研究会のホームページに会員限定ページを作る方法と選び方
学会や研究会のホームページに「会員だけが見られるページ」を作る方法は、大きく分けて4つあります。この記事では、それぞれの作り方と事務局の手間、名簿と見られる人をそろえる方法、個人情報の注意点、作る前に決めておくことを順番にまとめます。
結論:先に決めるのは「誰に・何を見せるか」
会員ページの作り方を選ぶ前に、次の3つを決めると、合う方法がほぼ決まります。
- 何を載せるか(講演の録画、配布資料、会員へのお知らせ、会員名簿など)
- 外に出たら困る度合い(出ても大きな問題にならない/会員以外には見せたくない/個人情報を含む)
- 名簿がどこにあるか(Excel、スプレッドシート、既製のサービスなど)
おおまかな目安は次のとおりです。
- 配布資料やお知らせが中心で、外に出ても大きな問題にならない → 共通パスワードで足りることが多い
- 講義動画など、会員以外には見せたくない → 会員ごとのログイン(ひとりずつ入る仕組み)が向いている
- 入会・会費・会員ページをまとめて管理したい → 既製の会員管理サービスが合う場合が多い
- 今の名簿を変えずに、退会・未納の方を自動で外したい → 名簿とつなぐ仕組みを作る
会員限定ページの作り方は4つ
| 作り方 | しくみ | 事務局の手間 | 向いている団体 | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| 共通パスワード | 全員が同じパスワードで入る | 準備は少ない。パスワードを変えるたびに全員へ配り直す | 小さな研究会、載せるものが少ない | 退会した方も入れたままになりやすい |
| 会員ごとのログイン | ひとりずつIDとパスワードなどで入る | 準備は多め。入会・退会のたびに登録と削除が必要 | 会員以外に見せたくない動画や資料がある | 名簿とログインの登録がずれやすい |
| 既製の会員管理サービス | 入会・会費・会員ページを1つのサービスで扱う | 名簿の移しかえが最初に必要。その後は画面で操作 | 新しく仕組みを整えたい、名簿の移しかえができる | 今の名簿ややり方を変える必要が出ることがある |
| 名簿とつなぐ仕組み | 今の名簿をもとに、見られる人が決まる | 最初に設計と制作が必要。その後は名簿を直すだけ | 今の名簿を続けて使いたい、退会・未納の反映を楽にしたい | 作った会社に頼りきりにならないよう、データの置き場所を決めておく |
1. 共通パスワードのページ
ページに入るときに、全員共通のパスワードを入れてもらう方法です。多くのホームページ作成ツールに、ページごとにパスワードをかける機能があります。サーバーの設定で、ブラウザにパスワード入力の画面を出す方法(ベーシック認証と呼ばれます)もあります。
すぐに始められるのが良いところです。一方で、誰が見たかはわかりません。退会された方もパスワードを知ったままになります。年度の切り替えなどに合わせてパスワードを変え、会員の方へ配り直す作業が毎回発生します。
2. 会員ごとのログイン
会員の方ひとりずつに、入るための情報(IDとパスワード、メールで届くログイン用のリンクなど)を用意する方法です。誰が入ったかがわかり、退会された方だけを止めることもできます。
ただし、入会・退会・会費の未納があるたびに、名簿とログインの登録の両方を直す必要があります。この「二重の管理」がずれると、退会された方が見られたままになったり、入会したばかりの方が入れなかったりします。パスワードを忘れた方への対応も、事務局の仕事として見込んでおきます。
3. 既製の会員管理サービス
入会の受付、会費の決済、会員ページなどを、まとめて扱えるサービスを使う方法です。画面から操作でき、機能が最初からそろっているのが良いところです。
一般に、名簿をサービスの形に合わせて移す必要があります。今の名簿の項目や、事務局の決まった流れがサービスに合うかを、試用などで確かめてから選ぶと安心です。サービスに合う団体なら、自分たちで仕組みを作るより手間が少ないことも多く、River Techでも、その方が合う場合は正直にそちらをおすすめしています。
4. 今の名簿とつなぐ仕組みをつくる
今お使いのExcelやスプレッドシートの名簿をそのまま正本(いちばん正しい元の表)にして、そこから会員ページを見られる人が決まるようにする方法です。名簿で退会や未納の印がついた方は、自動で見られなくなる、という形にできます。
最初に設計と制作が必要ですが、そのあとの事務局の作業は「名簿を直すこと」だけにまとめられます。名簿と会員ページを二重に管理しなくてよいのが、いちばんの違いです。River Techでは、データは団体様のアカウントに残し、契約が終わってもそのまま使える形にしています。
いちばん大事なのは「名簿」と「見られる人」をそろえること
会員ページでよく起きる困りごとは、作り方よりも、名簿とのずれから生まれます。どの方法を選ぶ場合も、次の点を決めておくと運用が安定します。
- 正本の名簿は1つだけにする。 名簿がExcelと会員ページの両方にあると、どちらが正しいかわからなくなります
- 入会したら、いつから見られるか。 申込のときか、会費の入金を確かめたあとか
- 退会したら、いつ見られなくなるか。 退会の届けの日か、年度末か
- 未納の方をどう扱うか。 すぐ止めるのか、一定の期間は見られるようにしておくのか
- 誰が名簿を直すか。 担当の方が代わっても続けられるよう、手順を残す
共通パスワードや会員ごとのログインでは、これらを毎回手作業で反映することになります。名簿とつなぐ仕組みでは、名簿の印をもとに自動で反映できます。
個人情報で気をつけたいこと
会員の方の氏名や連絡先は個人情報にあたります。会員ページを作るときは、次の点を確かめておきましょう。
- [ ] 生年月日・住所・電話番号などを、ホームページに出していない
- [ ] 会員一覧に載せる項目を決め、会員の方に掲載してよいか確かめている
- [ ] 名簿の表を共有している相手を、事務局の方だけに絞っている
- [ ] 表の共有設定が「リンクを知っている全員」のままになっていない
- [ ] サイト全体が暗号化された通信(アドレスが「https」で始まる)になっている
- [ ] 検索結果に出さない設定だけで、守ったつもりになっていない(検索に出なくても、URLを知っていれば開けます)
- [ ] 動画サービスの「限定公開」だけに頼っていない(URLを知っている人なら見られる場合があります)
扱いの決まり(何のために使うか、誰が見られるかなど)は、団体の規程や関係する法令によって変わります。判断に迷う場合は、専門家への確認をおすすめします。
作る前に決めておくこと(順番)
- 会員ページに載せるものを書き出す。 動画、資料、お知らせ、会員一覧など
- それぞれを「公開」「会員だけ」「事務局だけ」に分ける。 会員一覧を公開ページに置くのか、会員ページに置くのかもここで決めます
- 正本の名簿を決める。 今の名簿の項目(会員番号、氏名、メール、会費の状況、退会日など)を確かめます
- 入会・退会・未納のときの扱いを決める。 上の「そろえること」の項目です
- 誰が、どの画面で、何を直すかを決める。 パソコンが得意でない方でも回せる形かを考えます
- 作り方を選ぶ。 ここまで決まれば、4つのどれが合うかは自然に絞られます
River Techの事例
River Techが制作した会員まわりのサイトには、次のようなものがあります。
- JIP 公式ホームページ:歯科医師の会員制医療教育団体の公式ホームページです。名簿のスプレッドシートから、会員一覧(約250名)をサイトへ自動で反映しています。会員だけが見られる講義動画のページと、申込フォーム(申込者への自動返信と、事務局へのお知らせ)も備えています
- CSAC Doctors Club:医師が集まる会員制の学術コミュニティのサイトです。入会、ログイン、ウェビナー・動画講義までを、ひとつの流れにしています
- 研究会サイトのデモ:River Techが提案用に作った、架空の研究会のデモサイトです。講演の録画・配布資料・会員へのお知らせを並べた、会員ページの見本を見られます(団体と内容はすべて架空です)
公式サイトから入会、ログイン、会員限定の動画や資料までの流れは会員制サイト・動画配信で、名簿と会員ページをつなぐ考え方は学会・研究会の事務局の仕組みづくりでご紹介しています。
迷ったら、今の手間を書き出すところから
会員ページは、作ったあとに名簿とそろえ続ける作業の方が長く続きます。どの方法が合うかは、会員の人数よりも「名簿がどこにあり、誰が直しているか」で決まることが多いです。全部を一度に整える必要はありません。いちばん困っている作業から、ひとつずつ整えていくのがおすすめです。
よくある質問
会員限定ページは、共通のパスワードだけでも大丈夫ですか?
載せるものが講演の案内や配布資料など、外に出ても大きな問題にならない内容なら、共通パスワードで足りることも多いです。退会された方がパスワードを知ったままになるため、定期的にパスワードを変え、会員の方の個人情報は載せない運用をおすすめします。
既製の会員管理サービスと、仕組みを作るのとでは、どちらが良いですか?
入会から会費、会員ページまでを1つのサービスにまとめられ、今の名簿の移しかえに無理がなければ、既製サービスが合う場合が多いです。今のExcelやスプレッドシートの名簿を続けて使いたい場合は、名簿とつなぐ仕組みを作る方が手間が少なくなることがあります。
会員一覧をホームページに載せるとき、気をつけることはありますか?
載せる項目(氏名・所属など)を決め、会員の方に掲載してよいか確かめておくことが大切です。生年月日や住所、電話番号などは載せないのが基本です。会員だけに見せたい情報は、公開のページではなく会員ページに置きます。
講義動画を会員だけに見せるには、どうすればよいですか?
動画を会員ページの中に置き、ページに入れる人を会員に限ることが基本です。動画サービスの「限定公開」は、URLを知っている人なら誰でも見られる場合があるため、それだけに頼らないようにします。