医師・歯科医師向け研修コースのサイトの作り方|申込から動画講義まで

医療系の学会・研究会公開 River Tech合同会社

医師・歯科医師向けの研修コースやセミナーのサイトは、きれいな案内ページを作るだけでは終わりません。申込のときに受講資格をどう確かめるか、入金と名簿をどう合わせるか、受講後の動画講義を誰に見せるかまで、ひと続きで考える必要があります。この記事では、研修コース・セミナーの主催者や事務局の方向けに、申込から修了までの流れと、最初に決めること、よくある落とし穴をまとめます。

このテーマのご案内:医療系・歯科系の学会・研究会の方へ

結論:公開サイトと会員サイトを分け、「受講者の一覧」を1つに決める

先に結論をまとめます。

  1. 一般の方も見る「公式サイト」と、受講者・会員だけが入る「会員サイト」を分けて考える
  2. 受講資格の確かめ方は、主催者が先に決める。 サイトはその決め方に合わせて作ります
  3. 申込・入金・受講・修了を、1つの「受講者の一覧」に記録する。 申込の表、決済の画面、ウェビナーの参加者リストがばらばらだと、ずれが生まれます
  4. 会員ページを見られる人は、その一覧から決める。 退会や未納の方が自動で外れるようにします
  5. 海外での開催や英語の受講者がいる場合は、日時・通貨・案内文を最初から2か国語で考える

申込から修了までの流れ

研修コース・セミナーのサイトは、次の6つの段階でできています。段階ごとに「サイトがすること」と「事務局が決めること」を分けると、制作会社とも話しやすくなります。

段階 サイトがすること 事務局が決めること
1. 公式サイト 研修の内容・日程・会場・講師・費用・申込方法を案内する 一般の方に見せてよい範囲。症例写真や実習の写真を載せるか
2. 申込 氏名・所属・連絡先・受講資格の確認項目を受け付ける 受講資格の条件と確かめ方。定員と締め切り
3. 入金 振込先の案内、またはカード決済のページへ進める 承認してから払ってもらうか、申込と同時に払ってもらうか。キャンセルと返金
4. 受講案内 受付の自動返信、開催前の案内メール 集合時間・持ち物・服装・会場への行き方。誰がいつ送るか
5. 会員ページ ログインした人だけにウェビナーのURL、動画講義、配布資料を見せる 見られる人の条件(受講者だけか、会員全体か)。公開の期間
6. 修了 出席の記録、修了証の受け取り、修了者だけのページ 修了の条件。単位や認定の扱い

1. 公式サイト:一般の方も見る前提で作る

公式サイトは、受講を考えている先生が最初に見る場所です。研修の目的、対象(医師・歯科医師・専門分野など)、日程と会場、講師、費用、申込の締め切りを、スマホでも1画面ずつ読めるように並べます。

医療系の研修では、公開してよい内容の線引きが大切です。治療の症例写真や効果の説明を一般の方も見られるページに載せる場合、医療広告ガイドラインとの関係が気になることがあります。どこまでが広告にあたるか、どんな表現を避けるべきかは、厚生労働省の案内を確かめ、必要に応じて法律の専門家に相談してください。解剖実習を含む研修では、実習の写真や映像を撮るか、載せるとしてもどこまでかを、実施する施設の決まりに沿って先に決めておきます。

2. 申込:受講資格の確かめ方は主催者が決める

医師・歯科医師向けの研修では、「本当に対象の方か」をどこまで確かめるかが、申込の設計でいちばん迷うところです。確かめ方には、たとえば次のような段階があります。

確かめ方 事務局の手間 気をつけること
自己申告のチェック欄(「医師・歯科医師です」) ほぼない 確かめたことにはならない
所属(病院・医院・大学)と診療科の記入 少ない 表記がばらばらになりやすい
免許の登録番号などの記入 中くらい 照らし合わせ方を決めておく
免許証などの写しの提出 多い 保管の場所・期間・削除の方法を決める
会員や講師からの紹介 中くらい 紹介者の確認の流れが要る

どれが正しいということはなく、研修の内容(講義だけか、実技を含むか)や、受講者に求める条件によって主催者が決めます。厚生労働省には医師・歯科医師の資格を確かめるための検索の仕組みがありますが、使い方や確かめられる範囲は厚生労働省の案内で確認してください。

写しなどの書類を集める場合は、メールの添付で受け取らず、事務局だけが見られる場所に保管する、研修が終わったらいつ消すかを決める、といった扱いを先に決めます。個人情報の扱いは、個人情報保護委員会の案内や法律の専門家に確認するのが安心です。

3. 入金:「承認してから払う」か「申込と同時に払う」か

受講資格を事務局が確かめる研修では、順番が大事です。申込と同時にカードで払ってもらうと、あとで対象外とわかったときに返金が必要になります。返金しても決済の手数料が戻らないサービスもあります。

  • 承認してから払う:申込 → 事務局が確認 → 支払いの案内。返金は減りますが、案内を送る手間が増えます
  • 申込と同時に払う:手間は少なく、定員の管理もしやすい一方、対象外だったときの返金の決まりが要ります

病院や医院がまとめて払う、領収書の宛名を医院名にしてほしい、といったことも医療系ではよくあります。受け付け方の比べ方は 入会申込と会費・参加費をオンラインで受け付ける方法 に、カード決済と名簿が合わなくなる原因は 年会費の入金確認|カード決済と名簿が合わない5つの原因 にまとめています。

4. 受講案内:自動で送るものと、人が送るものを分ける

受付の確認、振込先、キャンセルの決まりは自動返信で送れます。一方、集合時間や会場の細かな案内、当日の変更は、事務局が開催の少し前にまとめて送る方が間違いが少なくなります。送る相手は、申込の表ではなく「入金が済んだ受講者」の一覧から選びます。

5. 会員ページ:ウェビナーと動画講義は「ログインの内側」に

ウェビナーの参加URLを案内メールに書くと、転送されて広がることがあります。ログインした人だけが見られる会員ページにURLを載せる、ウェビナーのサービス側で事前登録を必須にする、などの方法で広がりにくくします。

録画した講義を動画講義として公開する場合は、講師の同意を先に取ります。スライドに患者さんの写真や画像が含まれる場合は、患者さんの同意や個人が特定されない加工が済んでいるか、他の人が作った図や写真の著作権に問題がないかを確かめます。判断に迷うときは、各学会の指針や法律の専門家に確認してください。動画の配信方法の比べ方は 講演録画を会員限定でオンデマンド配信する方法 で紹介しています。

6. 修了:出席の記録を、受講者の一覧に残す

修了の扱いは、研修の信頼に関わります。会場での受付、ウェビナーの参加の記録、動画講義の視聴など、何をもって「修了」とするかを決め、その結果を受講者の一覧に記録します。修了証はPDFで会員ページから受け取れるようにすると、郵送の手間が減ります。学会の単位や認定につなげたい場合は、単位を定める学会や団体の規程を先に確かめてください。

公開の講座サイトと会員サイトを分ける

研修コースを続けていくと、受講を考えている先生向けの情報と、受講した先生・会員向けの情報が混ざってきます。2つを分けておくと、それぞれの更新が楽になります。

公式サイト(公開) 会員サイト(ログインあり)
見る人 受講を考えている先生、一般の方 受講者・修了者・会員
載せるもの 研修の案内、日程、講師、費用、申込の入口 ウェビナーのURL、動画講義、配布資料、会員へのお知らせ
更新の頻度 開催ごと・年度ごと 開催のたび、講義のたび
見られる人の決め方 誰でも 受講者の一覧(入金や会員の状態)から

River Techが制作した例では、グアム大学で実施される美容医療に特化した解剖学研修コースの CSAC 公式サイト が研修の案内と申込の窓口を担い、解剖実習を中心に医師が集まる会員制の学術コミュニティの CSAC Doctors Club が、入会・ログイン・ウェビナー/動画講義をまとめています。公開の案内と、会員の学びの場を別のサイトにした形です。

海外での開催・英語対応で考えること

海外の会場で行う研修や、海外の先生も受講する研修では、次の点を最初から決めておきます。

  • 日時の書き方:現地時間と日本時間を並べて書く。ウェビナーは特に間違いが起きやすいところです
  • 英語のページの範囲:全部を訳すか、案内・申込・キャンセルの決まりなど要点だけにするか。自動返信の英語版も忘れずに
  • 通貨と支払い方法:どの通貨で受け取るか、海外のカードが使えるか、振込の手数料は誰が持つか
  • 受講資格:国によって免許の仕組みが違うため、海外の先生の資格をどう確かめるかは主催者が別に決めます
  • キャンセルの決まり:天候や渡航の事情で開催できないときの扱い。渡航や保険は受講者の手配か、主催者が案内するか

最初に決めること

サイトを作り始める前に、次の順で決めておくと、作り直しが減ります。

  1. 受講の対象と、受講資格の確かめ方
  2. 承認してから払うか、申込と同時に払うか。キャンセルと返金の決まり
  3. 「受講者の一覧」をどこに置き、誰が更新するか
  4. 会員ページを見られる人の条件と、見られなくなる時期(修了後もずっとか、年度ごとか)
  5. 修了の条件と、修了証の渡し方
  6. 公開サイトに載せないもの(症例写真、実習の映像、会員向けの資料)
  7. 英語対応の範囲

よくある落とし穴

研修コースやセミナーの運営で、一般によく起きるのは次のようなつまずきです。

  • 申込と名簿がずれる。 申込のフォーム、決済の画面、ウェビナーの参加者リストがそれぞれ別の一覧になり、「払ったのに名簿にいない」「申込が二重に入っている」が起きます。受講者の一覧を1つに決め、ほかはそこへ集めます
  • カードの決済が失敗して、会員の資格が切れる。 月額や年額の自動の決済では、カードの期限切れなどで決済が失敗すると、契約が止まることがあります。決済サービスの再試行やカード更新の案内を最初から設定し、再入会の手順と案内文を用意しておきます
  • 退会した人が会員一覧や会員ページに残る。 「プロフィールを登録した人」で一覧を作ると、退会や解約をしても残ります。一覧は決済や会員の状態から作り、外れるべき人が自動で外れるようにします
  • 会員向けの情報が公開側に残る。 ウェビナーのURLや資料のリンクを、公開のお知らせに載せたままにしないようにします
  • 開催ごとに別のサービスでページを作り、過去の開催が辿れなくなる。 開催のページは公式サイトの中に積み上げると、実績としても残ります

自分の会で確かめる3つの質問

  1. 今の受講者が誰か、1つの表を見ればすぐ答えられますか?
  2. 退会した先生や、決済が止まった先生は、会員ページから自動で外れますか?
  3. 受講資格をどこまで確かめるか、主催者として決めて申込ページに書いてありますか?

1つでも「いいえ」があれば、サイトを作り直す前に、今の申込から修了までの作業を書き出してみるのがおすすめです。River Techの 医療系の学会・研究会向けのご案内 では、今の申込の表や名簿を活かしたまま、どこに手間がかかっているかを1枚にまとめる「棚卸し診断」(オンライン45分・15,000円(税込)・「手間の地図」1枚)を用意しています。既製のセミナー受付サービスで足りる場合は、そうお伝えします。

よくある質問

受講資格(医師・歯科医師であること)は、必ず免許証の写しで確かめないといけませんか?

どこまで確かめるかは主催者が決めることです。自己申告のチェック欄と所属の記入で足りる研修もあれば、実技を含むため書類で確かめたい研修もあります。写しを集める場合は、保管の期間や削除の方法も一緒に決め、個人情報の扱いは個人情報保護委員会の案内や法律の専門家に確認してください。

公式サイトと会員サイトは、同じサイトの中に作ってもよいですか?

作れます。ただ、一般の方も見る案内と、受講者・会員だけが見る資料や動画では、載せる内容も更新する人も違います。入口(ログイン)を分け、会員向けの情報が公開側に残らないようにしておくと、あとで困りにくくなります。

ウェビナーの参加URLを会員だけに届けるには、どうすればよいですか?

一般には、案内メールにURLを書くより、ログインした人だけが見られる会員ページに載せる方が、転送で広がりにくくなります。ウェビナーのサービス側で事前登録を必須にする方法もあります。

研修の修了で学会の単位を出せますか?

単位や認定の扱いは、その単位を定める学会や団体の規程によります。主催者が出せるかどうか、出席の記録として何が求められるかを、先に規程で確かめてください。サイトでは、出席の記録を残す場所と、修了証を渡す方法を用意しておきます。

医療系・歯科系の学会・研究会の方へ

症例写真や患者さんの情報に気を配りながら、会員サイトと事務の手間を整えます。

会員の先生方への案内、会員限定の講義動画、セミナーの申込、名簿と連動する会員一覧まで。歯科医師・医師の団体のサイトをつくってきた経験をもとに、今のサイトの改善案を1枚にまとめてお渡しすることもできます。