学会の年会費の入金確認|カード決済と名簿が合わない5つの原因
年会費をカード決済にすると、振込の明細と名簿を見比べる作業は減ります。それでも「払ったはずなのに名簿で未納になっている」「決済の件数と会員数が合わない」ということが起きます。この記事では、カード決済を始めたあとに名簿との突き合わせでつまずく5つの点と、それぞれの見つけ方、事務局で決めておくルールをまとめます。
結論:名簿に3つの列を足し、合わないものは人が確かめる
先に結論をまとめます。
- 名簿に「会員番号」「決済に使ったメール」「要確認」の3つの列を持つ
- 照合は「会員番号 → 決済に使ったメール → 氏名 → 電話・住所」の順に行う
- どれでも決まらないものは「要確認」に回し、機械で書き込まない
- 年に1回、決済サービスで続いている契約の数と、名簿の会員数を突き合わせる
- 代理決済・改姓・二重払い・決済失敗のときの扱いを、先にルールとして決める
カード決済の受け付け方そのものの比べ方は 入会申込と会費・参加費をオンラインで受け付ける方法 で、振込のままでの照合の工夫は 名簿と会費管理はスプレッドシートのままで で紹介しています。この記事は、その「始めたあと」の話です。
なぜカード決済でも突き合わせが残るのか
決済サービスに残るのは「誰が、いつ、いくら払ったか」という支払った人の記録です。名簿にあるのは「誰が会員か」という会員の記録です。2つは似ていますが、同じ人を指す手がかりが違います。
多くの決済サービスでは、支払った方をメールアドレスで見分けます。名簿の会員と結びつける手がかりがメールしかないと、メールが違うだけで「払ったのに未納」の方が生まれます。名簿に照合用の列を足すのは、この食い違いを先に吸収するためです。
| 足す列 | 入れるもの | 役割 |
|---|---|---|
| 会員番号 | 1人に1つの番号(使い回さない) | いちばん確かな手がかり。支払いページで入力してもらう |
| 決済に使ったメール | 決済サービスに残っているメール(連絡用と同じなら空欄でよい) | 連絡用のメールと違う方を、次から自動で見つけられる |
| 要確認 | 「代理決済」「改姓」「二重払い」などのメモ | 判断がつかないものを人が確かめる目印。済んだら消す |
つまずく点1:決済のメールと名簿のメールが違う
どう現れるか:名簿の連絡用メールで探しても、決済の記録が見つからない。実際には、仕事用と私用、ふだんの連絡用とカードに登録したメールを分けて使っている方が少なくありません。会員の多くが同じメールで払うだろう、という前提は外れることがあります。
見つけ方:メールで一致しない決済を一覧にし、氏名で名簿を探します。見つかったら「決済に使ったメール」の列に入れておきます。翌年からは、その列でも一致を確かめられます。
決めておくルール:支払いページで会員番号を入力してもらう。決済に使ったメールは、連絡用の列を上書きせず、別の列に入れる。
つまずく点2:代理決済(医院・勤務先がまとめて払う)
どう現れるか:医院や勤務先の代表メール、院長の名前で、何人分かの年会費がまとめて払われる。決済の記録には支払った方の情報しか残らないため、誰の分なのかが名簿からは分かりません。払われた方は「未納」のまま残り、督促の連絡が届いてしまうこともあります。
見つけ方:金額が1人分の会費と合わない決済、名簿にいない名前やメールの決済を拾います。支払った方に「どなたの分か」を確かめ、対象の会員それぞれの「要確認」に「代理決済(支払者:○○)」と書きます。
決めておくルール:支払いページに「対象の会員の氏名・会員番号」を書く欄をつける。代理決済の場合の領収書の宛名をどうするかを決める。対象の方の「決済に使ったメール」には代表メールを入れ、翌年も同じ形で払われたときに見つけられるようにする。
つまずく点3:改姓・表記ゆれ
どう現れるか:名簿は旧姓、決済は新しい姓。あるいは「髙橋」と「高橋」、「齋藤」と「斎藤」、姓と名の間のスペースの有無、カードの名義に合わせたローマ字表記など、同じ方なのに文字が一致しません。
見つけ方:氏名で照合するときは、名だけ、ふりがなだけ、電話番号や住所でも探します。それでも決まらなければ「要確認」に入れて、ご本人に確かめます。
決めておくルール:照合を氏名だけで行わない。改姓の届け出の方法を会費の案内に書いておく。改姓した方は新しい行を作らず、同じ会員番号のまま氏名を直し、旧姓をメモとして残す。
つまずく点4:二重払い・二重契約
どう現れるか:支払いページを2回開いて2回払った、振込とカードの両方で払った、といった二重払い。もう1つ見落としやすいのが、毎年自動で引き落とす契約が、同じ方に2本できてしまう二重契約です。今年は1回しか払われていなくても、翌年の更新日に2回請求されることになります。
見つけ方:同じ会員に決済が2件ついたら「要確認」に入れます。二重契約は、決済サービスで続いている契約の一覧と名簿を、年に1回、更新日の前に突き合わせると見つけられます。契約の数が名簿の会員数より多ければ、どこかに重複があります。
決めておくルール:二重払いのときは、本人に確かめてから返金するか、翌年度分に充てるかを決めておく(会計の扱いは担当の方と相談)。退会や支払い方法の変更のときは、古い契約を止めたかを確かめる手順を入れる。
つまずく点5:月額・年額の決済の失敗 → 自動解約
どう現れるか:カードの期限切れや限度額で、自動の引き落としが失敗する。決済サービスの設定によっては、何度か失敗すると契約が自動で止まり、会員ページも見られなくなります。止まった契約は元に戻せず、未払い分を払ってもらうだけでは会員に戻らないこともあります。
見つけ方:決済の失敗や契約の停止が事務局に知らされる設定にしておき、届いたら名簿の「要確認」に入れます。名簿では会員なのに決済サービスでは契約が止まっている方は、年1回の突き合わせでも見つかります。
決めておくルール:決済サービスの再試行やカード更新の案内の機能を、最初から使える範囲で設定する。「未払いになったら何日で会員の扱いを止めるか」「再入会のときの入会金」を規程で決める。再入会の手順と、ご本人への案内文を事務局の手順書に入れておく。会員ページと決済をつないでいる場合の考え方は 会員限定ページを作る方法と選び方 にまとめています。
照合の手順:書き込む前と後に確かめる
突き合わせの作業そのものも、手順を決めておくと間違いが減ります。
- 決済サービスから、成功した決済の一覧を取り出す
- 会員番号 → 決済に使ったメール → 連絡用のメール → 氏名 → 電話・住所、の順で名簿の行を探す
- 1人に決まったものだけ「支払い済み」と支払日を入れる
- 決まらないもの、2件以上あるもの、金額が合わないものは「要確認」に回す
- 書き込むときは「上から何行目」ではなく、会員番号や氏名とメールで行を確かめる(複数人で同時に開いていると、行がずれることがあります)
- 書いたあとに読み戻し、決済の件数と「支払い済み」の数が合っているかを確かめる
- 「要確認」が残っている方に、事務局から確認の連絡をする
事務局で決めておくルールの一覧
| 場面 | 決めておくこと |
|---|---|
| 支払いページ | 会員番号の入力欄、代理決済の場合の対象者の欄 |
| 代理決済 | 領収書の宛名、翌年の扱い |
| 改姓 | 届け出の方法、同じ会員番号のまま直すこと |
| 二重払い | 返金か翌年度分に充てるか、誰が判断するか |
| 二重契約 | 年1回、更新日の前に契約の数を確かめる担当 |
| 決済の失敗 | 何日で会員の扱いを止めるか、再入会の入会金と手順 |
| 退会 | 名簿の退会日と、決済サービスの契約を止めることを一緒に行う |
自分の会で確かめる3つの質問
- カード決済のうち、名簿の連絡用メールで見つからないものは何件ありましたか。 数えたことがなければ、照合用の列が足りていないかもしれません
- 決済サービスで続いている契約の数と、名簿の会員数を最後に比べたのはいつですか。 比べたことがなければ、翌年の更新日の前に一度確かめておくと安心です
- 決済が失敗した方、代理で払われた方の扱いは、担当者が替わっても同じになりますか。 担当の方の頭の中にだけあるなら、ルールとして書き出す時期です
今の照合にかかっている時間から考える
カード決済を入れても、名簿との突き合わせは残ります。大切なのは、照合の作業をなくすことより、毎年同じところでつまずかないように列とルールを整えることです。River Techの 学会・研究会の事務局向けのご案内 にある「棚卸し診断」(オンライン45分・15,000円(税込))では、今の入金確認に1回どのくらい時間がかかっているかをうかがい、どこに列を足せば照合が楽になるか(決済に使ったメールの列、要確認の列など)を「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。今お使いの名簿と決済サービスは、そのまま活かす前提です。
よくある質問
決済サービスの管理画面で支払いが見られるなら、名簿に「支払い済み」の列は要りませんか?
要ります。管理画面にあるのは「支払った人」の記録で、「会員」の記録ではないからです。案内メールの宛先、会員ページを見られる人、会員証や学会誌の発送先は名簿から決めるので、照合の結果は名簿の側に残しておきます。
同じ方から年会費が二重に支払われたときは、どうすればよいですか?
まずご本人に連絡して、二重払いかどうかを確かめます。返金する場合は、多くの決済サービスで管理画面から手続きできますが、手数料が戻らないこともあります。返金するか翌年度分に充てるかは、会計を担当する方と相談して、あらかじめ決めておくと迷いません。
カードの決済が失敗して会員資格が切れた方は、どう戻せばよいですか?
決済サービスや設定によっては、止まった契約を元に戻せず、新しく申し込み直してもらう必要があります。再入会のときの入会金の扱いと手順を規程や手順書に書き、ご本人へのお支払いの案内文を用意しておくと、慌てずに対応できます。
照合は、すべて機械に任せられますか?
会員番号や決済に使ったメールで一致するものは任せられます。一致しないものまで機械で書き込むと、別の方に「支払い済み」をつけてしまうおそれがあります。判断がつかないものは「要確認」に回して、人が確かめる形がおすすめです。