学会事務局の年間スケジュール表の作り方|会費・総会・大会・会報を1枚に

学会・研究会の事務局公開 River Tech合同会社

学会・研究会の事務局の仕事は、年に1回しかないものが多く、「去年はいつ、何から始めたか」を思い出すところから毎年始まりがちです。この記事では、年会費・総会・学術集会・会報などの年間の仕事を、月ごとに1枚の表にまとめる手順を紹介します。そのままコピーして使えるテンプレートと、表を引き継ぎ書や「どこから楽にするか」の判断に使う方法もあわせて載せています。

このテーマのご案内:学会・研究会の事務局の方へ(事務局の仕組みづくり)

結論:月×仕事の表に「始める時期・担当・道具」まで書く

先に結論をまとめます。

  1. 縦に月、横に仕事を並べた表を1枚つくる(年会費・総会と理事会・学術集会・会報と学会誌・名簿・各種サービスの更新・決算と監査)
  2. 締め切りの日だけでなく、「始める時期」を書く(締め切りの何週間前に手をつけるか)
  3. 行ごとに「担当」「使う道具・ファイル」「かかった時間」を書く
  4. 日付は去年の実際の記録から拾い、年に1回見直す

この1枚があれば、担当の方が替わっても仕事が抜けにくくなり、どの作業に手間がかかっているかも一目でわかります。

学会事務局の年間の仕事一覧

まず、多くの学会・研究会の事務局に共通する仕事を、7つに分けて書き出します。時期は会によって大きく違うため、目安として見てください。

仕事 主な中身 時期の目安
年会費の請求と入金確認 請求書・振込用紙の送付、入金の確認と名簿への記入、未納の方への連絡 年度のはじめに請求、数か月かけて入金確認、年度の後半に督促
総会・理事会 日程の調整、議案の準備、招集の案内、出欠と委任状の集計、議事録 理事会は年に数回、総会は年1回(学術集会に合わせる会が多い)
学術集会(年次大会) 会場の確保、演題の募集、参加登録、当日の運営、開催後の報告 開催の1年ほど前から準備、開催後1〜2か月で報告
会報・学会誌 原稿の依頼と締め切り、編集・印刷、発送、ホームページへの掲載 年1〜数回の発行月に合わせる
名簿の更新・退会処理 入会・退会・休会・住所変更の反映、宛先不明で戻った郵便の記録 通年。年度の切り替えに集中
各種サービスの更新 ドメイン(サイトとメールの住所)、サーバー、メール配信や決済などのサービスの更新と支払い 契約ごとに決まった月
決算・監査 会計の締め、監事による監査、事業報告・決算報告の作成 年度末から総会の前まで

会によっては、ほかに役員の改選(数年ごと)、認定制度や資格の更新、研修会・地方会の開催、後援名義の申請なども入ります。思いついたものは、まず全部この一覧に足してください。

年間スケジュールの例(4月はじまりの会の場合)

上の仕事を月ごとに並べると、たとえば次のようになります。あくまで一例で、年度のはじまりや学術集会の時期によって大きく変わります。

月 主な仕事(例)
4月 年度の切り替え、名簿の更新、年会費の請求
5月 決算・監査、入金確認、総会の議案づくり
6月 理事会、総会の案内の発送、会報の発行
7月 学術集会の参加登録の受付、未入金の方の確認
8月 学術集会の準備(演題の確定、プログラムの掲載)
9月 学術集会と総会、議事録
10月 学術集会の報告、会報の原稿依頼
11月 会報・学会誌の発送、戻ってきた郵便の記録
12月 理事会、次年度の学術集会の会場確認
1月 未納の方への督促、次年度の予算案
2月 ドメイン・サーバーの更新(契約月の例)
3月 年度末の会計の締め、退会の届けの整理

書き出してみると、年度のはじめと学術集会の前後に仕事が集まっていることがわかります。この「山」が見えるだけでも、準備を前倒しする目安になります。

年間スケジュール表の作り方(5つの手順)

手順1:去年の実際の日付を拾う

記憶ではなく、記録から拾います。

  • 事務局のメールの送信済み(「総会のご案内」「年会費のお願い」などで検索)
  • カレンダーや手帳
  • 通帳や入金の記録(いつ請求し、いつ入金が集中したか)
  • ドメインやサーバーの会社から届いた更新のお知らせ
  • 前の担当の方のメモ

手順2:締め切りのある日で並べる

「総会の日」「参加登録の締め切り」「会報の発行日」「ドメインの更新日」のように、動かせない日を先に表に置きます。総会の案内の期限などは、定款や規程に書かれていることがあるので確かめておきます。

手順3:締め切りから逆算して「始める時期」を書く

年に1回の仕事でつまずくのは、締め切りの日を知っていても、始めるのが遅れることです。去年の記録を見ながら、次のように「何週間前に始めたか」を書き込みます。

仕事 締め切りの日 始める時期の例
総会の案内の発送 規程で決まった発送期限 期限の3〜4週間前に議案を確定し、印刷・宛名を用意
学術集会の参加登録 登録の締め切り 開催の3〜4か月前に案内を掲載し、受付を始める
会報・学会誌の発行 発行日 発行の2〜3か月前に原稿を依頼
年会費の請求 年度のはじめ 前の月に名簿を整え、退会者と住所変更を反映
ドメインの更新 契約の更新日 1か月前に支払い方法と名義を確認

数字はあくまで例です。自分の会で実際にかかった日数に置き換えてください。

手順4:担当と使う道具を書く

行ごとに「誰がやるか」と「何を使うか」を書きます。道具とは、名簿のファイル、請求書のひな形、宛名ラベルの差し込み印刷、メーリングリスト、申込フォーム、決済サービスの管理画面などです。ファイルの保存場所まで書いておくと、次の年に探す時間がなくなります。

手順5:年に1回見直す

年度の終わりか、総会のあとに、表を見直します。始める時期が遅かった仕事は前に、要らなくなった仕事は消し、新しく増えた仕事は足します。

コピーして使えるテンプレート

下の表をエクセルや紙に写して使ってください。1行に1つの仕事を書きます。

月 仕事 締め切りの日 始める時期 担当 使う道具・ファイル かかった時間 メモ
4月 年会費の請求 前の月の下旬 名簿・請求書のひな形
4〜7月 入金確認と名簿への記入 請求の翌週から 通帳・決済の記録・名簿
5月 決算・監査 年度末の翌週 会計の帳簿
6月 総会の案内の発送 議案・宛名ラベル
9月 学術集会 開催の約1年前 参加登録の表・申込フォーム
11月 会報・学会誌の発送 発行の2〜3か月前 名簿・宛名ラベル
2月 ドメイン・サーバーの更新 1か月前 管理会社のアカウント
通年 入会・退会・住所変更 届いたらすぐ 名簿

「かかった時間」は、ざっくりでかまいません(「半日」「2日」「毎週1時間」など)。この欄があとで役に立ちます。

年度替わりに集まる作業のチェックリスト

年度の切り替えは、仕事がいちばん重なる時期です。抜けやすいものを並べておきます。

  • [ ] 前年度の退会・休会の届けを名簿に反映した
  • [ ] 住所変更と、宛先不明で戻った郵便を名簿に反映した
  • [ ] 名簿の「今年度の会費」の列を新しく用意した(前年度の列は消さずに残す)
  • [ ] 請求書・振込用紙・申込書の年度と金額の表記を新しくした
  • [ ] ホームページの入会案内・会費の案内の年度を書き換えた
  • [ ] 会員ページのパスワードを年度で変える会は、変えて会員へ知らせた
  • [ ] 役員が替わった場合、名簿や各サービスの権限を入れ替えた

年間スケジュール表は、そのまま引き継ぎ書になる

担当や使う道具、ファイルの場所まで書いた年間スケジュール表は、そのまま引き継ぎ書の中心になります。事務局の移転や担当の交代で抜けやすいのは、年に1回しかない仕事だからです。

引き継ぎのときは、この表に加えて「名簿や口座、アカウントがどこにあって、誰の名義か」を渡します。その一覧は、学会事務局の引き継ぎチェックリストにまとめています。表の「担当」の欄に個人の名前しか書かれていない行や、「使う道具」の欄が個人のメールやスマホになっている行は、引き継ぎで困りやすいところです。

表を見ると、どこから楽にすればよいかがわかる

1年分を1枚に並べると、「毎回、同じ名簿を書き写している仕事」が見えてきます。たとえば次のような行です。

表の中に見えること よくある中身 楽にする方向
入金確認に毎年何日もかかっている 通帳や決済の記録と名簿を、1件ずつ見比べている 名簿に照合用の列を足し、合わないものだけを人が確かめる
発送のたびに宛先を作り直している 名簿から退会者を外し、住所をそろえ、ラベルを作る 名簿の列で「送る人」が決まるようにする
案内メールの宛先を毎回手で集めている 名簿からアドレスを抜き出して貼り付けている 名簿とメールの宛先を1つにそろえる
名簿が変わるたびにホームページを直してもらっている 会員一覧や会員ページのパスワードの更新 名簿を直せばホームページにも反映される形にする

「かかった時間」が大きく、しかも毎年くり返す行が、最初に手をつける候補です。入金確認については学会の年会費の入金確認|カード決済と名簿が合わない5つの原因、発送については会員への郵送を名簿からで、具体的な手順を書いています。

大切なのは、全部を一度に変えないことです。いちばん困っている1行だけを楽にして、残りは今のやり方のままでかまいません。

自分の会で確かめる3つの質問

  1. 総会の案内の期限と、それに間に合わせるために議案をいつ確定するかを、今すぐ答えられますか?
  2. ドメインやサーバーの更新月と、支払いに使っているカードの持ち主を知っていますか?
  3. 1年のうちで、いちばん時間がかかっている事務作業はどれか、時間で言えますか?

ひとつでも答えに詰まったら、そこから表に書き始めてください。

年間の仕事を「手間の地図」1枚に

自分たちだけで1年分を書き出すのが大変な場合は、River Techの学会・研究会の事務局向けのご案内にある「棚卸し診断」(オンライン45分・15,000円(税込))をご利用いただけます。年間の事務作業と、それぞれに使っている名簿やサービス、かかっている時間をうかがい、「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。どの作業から楽にすると効果が大きいかも、その1枚の上でご提案します。今お使いの名簿ややり方は、できるだけそのまま活かす前提です。

よくある質問

年間スケジュール表は、エクセルと紙のどちらで作ればよいですか?

どちらでもかまいません。事務局の方がいちばん開きやすいものが正解です。ただ、担当の方が複数いる場合や引き継ぎを考える場合は、共有できる表(エクセルやGoogle スプレッドシート)にしておき、年に1回、印刷して事務局の机に貼っておく形が使いやすいです。

総会の案内は、いつまでに出せばよいですか?

会の定款や規程、法人の形によって決まりがあることが多いので、まず自分の会の定款・規程を確かめてください。決まりがわかったら、その期限から逆算して、議案の確定や印刷・発送の準備を始める日を表に書いておくと安心です。

学術集会は年によって会場も担当も変わります。表に書けますか?

書けます。会場や大会長が変わっても、「開催の何か月前に案内を出す」「何週間前に参加登録を締め切る」という順番はほとんど変わりません。日付ではなく「開催の○か月前」という形で書いておくと、毎年そのまま使えます。

表を作ったあと、何から楽にすればよいですか?

表の中で、同じ名簿を何度も書き写している行や、毎年いちばん時間がかかっている行から手をつけるのがおすすめです。多くの場合、年会費の入金確認と、名簿からの発送・案内の宛先づくりがそれにあたります。

学会・研究会の事務局の方へ

今のやり方を活かして、事務局の手間をひとつずつ減らします。

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