学会の会員への郵送を名簿から|宛名ラベル・宅配便の伝票・発送漏れ確認

学会・研究会の事務局公開 River Tech合同会社

学会誌や会員証、学術集会の案内など、会員への郵送は紙のまま続けている事務局が多いと思います。紙をなくす必要はありません。この記事では、今の名簿から「送る相手」を列で決め、宛名ラベルの差し込み印刷、宅配便の伝票ソフトへの取り込み、発送漏れと二重送りの確認までを、手順とチェックリストでまとめます。

結論:送る相手は「名簿の列」で決める

先に要点をまとめます。

  1. 送る条件を列で決める。多くの場合は「会費が済んでいる × まだ送っていない × 退会していない」の3つです
  2. 住所は列を分けて整える。郵便番号・住所・建物名・送付先(勤務先か自宅か)を別の列にします
  3. 宛名ラベルは名簿から差し込み印刷で作る。手で打ち直さないことが、書き間違いを減らす一番の近道です
  4. 宅配便の伝票は取り込み用のファイルで作る。取り込む前に、電話番号の空欄や長すぎる住所を直しておきます
  5. 送ったら名簿に記録する。発送日を入れた人は、次の「送る相手」から自動で外れます

この5つがそろうと、「誰に送ったか」を名簿だけで答えられるようになります。名簿の正本(いつも正しいとみなす1つの表)の決め方は、名簿と会費管理はスプレッドシートのままで で詳しくご紹介しています。

発送でよく起きること

郵送の手間は、ラベルを貼る作業そのものより、「誰に送るか」を決める作業と、送ったあとの確認にかかります。よくある形を表にしました。

起きること 主な原因 防ぎ方
退会した方に届いてしまう 発送用のリストを前回のものから使い回している 毎回、名簿の正本から条件で抜き出す
会費を払った方に届かない 入金の記録と発送のリストが別々 会費の状態と発送の状態を同じ名簿の列で持つ
同じ方に2通届く 手元のリストと名簿で、送った記録が食い違う 送ったら名簿の「発送日」に入れる
勤務先に送ったら異動していた 送付先が勤務先か自宅か、決まっていない 「送付先」の列を作り、住所変更の受付窓口を案内する
伝票が作れない・取り込みでエラーになる 電話番号の空欄、住所の文字数オーバー、特殊な文字 取り込む前に、空欄と長さを確かめる
戻ってきた郵便の扱いがばらばら 戻ってきたことを名簿に書く場所がない 「戻り」の列を作り、次回の発送を止める

手順1:名簿に発送のための列を足す

新しいファイルを作る必要はありません。今の名簿に、発送に使う列を足します。

列 入れる内容 入れ方のこつ
会費の状態 済・未納 選択式(プルダウン)にする
退会日 退会した日 行は消さず、日付を入れて残す
送付先 勤務先・自宅 選択式にする
郵便番号 123-4567 ハイフンの有無をそろえる
住所 都道府県から番地まで 建物名は入れない
建物名・部署 ○○ビル3階、○○医局 住所とは別の列にする
送付先の名前 勤務先名 勤務先に送る場合だけ
電話番号 送付先の電話 宅配便の伝票では求められることが多い
発送日 送った日 送った後に入れる
伝票番号 宅配便の追跡番号 問い合わせに答えるときに使う
戻り 戻った日と理由 「宛所不明」など
要発送 自動で表示 手で入力しない

「要発送」の列は、条件で自動に表示する

最後の「要発送」の列には、数式を入れておきます。たとえば会費の状態がF列、退会日がH列、発送日がK列なら、次のような数式になります(ExcelでもGoogle スプレッドシートでも同じ書き方です)。

=IF(AND(F2="済",H2="",K2=""),"要発送","")

「会費が済んでいて、退会日が空で、発送日も空」の行にだけ「要発送」と出ます。絞り込み(フィルタ)で「要発送」だけを表示すれば、それがそのまま今回送る相手です。発送後に会費を払った方も、次に開いたときには自動で「要発送」に上がってくるので、後から追加で送る分も漏れません。

この数式が正しく働くには、「会費の状態」の列が正しいことが前提です。振込やカード決済の記録と名簿を合わせる方法は、学会の年会費の入金確認|カード決済と名簿が合わない5つの原因 でまとめています。

手順2:住所の表記ゆれをそろえる

宛名ラベルも宅配便の伝票も、名簿の住所をそのまま使います。印刷してから気づくと手戻りが大きいので、先にそろえておきます。

  • 郵便番号は7桁で、ハイフンあり・なしをどちらかに統一する
  • 住所は都道府県から書く(「名古屋市」から始まる行と混ぜない)
  • 番地の数字とハイフンは、全角・半角をそろえる(「1−2−3」と「1-2-3」を混ぜない)
  • 建物名・部屋番号・部署名は、住所とは別の列に入れる
  • 「髙」「﨑」などの環境によって出ない文字や、「①」「㈱」などの記号は、ラベルや伝票で化けないか確かめる
  • 勤務先に送る場合は、勤務先名と部署・医局名まで入れる
  • ふりがなの列に、ローマ字や入力途中の文字が混じっていないか見る

勤務先と自宅、どちらに送るか

会員の方が大学や病院に勤めている団体では、勤務先宛てと自宅宛てが混在しがちです。どちらに送るかを会員ごとに「送付先」の列で決め、入会申込のときに選んでもらうと迷いません。勤務先宛ては異動で届かなくなることがあるため、年に一度、会費のご案内と一緒に「住所・送付先に変更はありませんか」と確かめる習慣をつけると、戻ってくる郵便が減ります。

手順3:宛名ラベルを差し込み印刷で作る

宛名ラベルは、名簿を元にWordの差し込み印刷で作るのが一般的です。ラベル用紙のメーカーが無料の作成ソフトを用意していることもあります。

  1. 名簿を「要発送」で絞り込み、送る相手だけを別のシートに写す
  2. そのシートの件数を数えて、メモしておく
  3. Wordの差し込み印刷で、使うラベル用紙の製品番号を選ぶ
  4. 郵便番号・住所・建物名・送付先の名前・氏名の欄を、名簿の列に対応させる
  5. 敬称を決める(個人宛ては「様」、勤務先の部署宛ては「御中」など)
  6. 普通紙に1枚だけ試し刷りして、ラベル用紙に重ねて位置を確かめる
  7. 本番を印刷し、ラベルの枚数が手順2のメモと合うか数える

最後の「数が合うか」の確認が大切です。抜き出しの件数、ラベルの枚数、封筒の数がそろっていれば、途中で漏れていないことを確かめられます。

手順4:宅配便の伝票は、取り込み用のファイルで作る

会員証や記念品、冊子など、届いたかを追いたいものは宅配便で送ることがあります。宅配便各社の法人・事業者向けの伝票発行サービスには、表のデータを取り込んで伝票をまとめて作る機能があるのが一般的です。名簿から必要な列を抜き出して取り込めば、伝票を1枚ずつ手書きする必要はなくなります。

ただし、取り込みの決まりは各社で違います。名簿の列を合わせる前に、各社の取り込み形式を確認してください。見ておきたい点をまとめます。

確かめること よくあるつまずき 対処
列の順番と見出し 名簿の列の並びのままでは取り込めない 取り込み用のシートを別に作り、決められた順に並べる
必須の項目 電話番号が空欄の方は伝票が作れないことが多い 取り込む前に空欄を抜き出し、本人に確かめる
文字数の上限 長い住所が1つの欄に入りきらない 建物名を別の欄へ移す
使えない文字 特殊な漢字や記号でエラーになる 置き換えてよいか確かめて直す
ファイルの形式 保存の形式や文字コード(文字の記録方式)が合わない サービスの案内どおりの形式で保存する

取り込みが終わったら、取り込めた件数と「要発送」の件数を突き合わせます。数が違えば、はじかれた行があるということです。はじかれた方を一覧にして、電話番号や住所を確かめてから追加で発行します。

手順5:送ったら、名簿に記録する

発送が済んだら、その日のうちに名簿の「発送日」と、宅配便なら「伝票番号」を入れます。これで「要発送」の表示が消え、次の発送の対象から外れます。

伝票発行サービスに発行の履歴が残る場合は、その履歴と名簿の「発送日」が入った人数が合うかを確かめると安心です。合っていれば、名簿だけで「誰に送ったか」「まだ送っていないのは誰か」に答えられます。「会員証が届いていません」という問い合わせにも、発送日と伝票番号を見てすぐに答えられます。

学会誌のように毎号送るものは、号ごとに「発送日」の列を作るか、発送の記録を別のシートに1行ずつ残す形にします。どちらの場合も、名簿の正本と会員番号でつながるようにしておきます。

戻ってきた郵便の扱い

ホームページで「学会誌が事務局に戻ってきています。住所が変わった方はご連絡ください」と呼びかけている団体を、よく見かけます。戻ってきた郵便は、次の順で扱うと迷いません。

  1. 名簿の「戻り」の列に、戻った日と理由(宛所不明・転居先不明など)を入れる
  2. 次回の発送の対象から外す(「要発送」の条件に「戻りが空」を加える)
  3. メールなど別の連絡先で、新しい住所を確かめる
  4. 住所が分かったら名簿を直し、「戻り」を消して再送する
  5. 連絡がつかない場合の扱い(何回で発送を止めるかなど)は、会則や規程で決めておく

住所変更を受け付けるフォームをホームページに用意しておくと、会員の方からの連絡も受けやすくなります。

発送と個人情報

発送の作業は、名簿の住所や電話番号を名簿の外に出す作業でもあります。次の点を確かめてください。

  • 発送用に抜き出したシートやファイルは、作業が終わったら消す
  • 印刷会社や発送代行に頼むときは、名簿をまるごと渡さず、必要な列だけを渡す
  • 外部に頼むときは、扱い方と作業後の消去について取り決めておく
  • 名簿や発送用のファイルを、メールの添付で送り合わない
  • 試し刷りや印刷ミスのラベルは、そのまま捨てずにシュレッダーにかける
  • 名簿の共有相手は、事務局の方だけに絞っている

会員規約やプライバシーポリシーとの関係など、法令に関わる判断が必要な場合は、専門家に確認することをおすすめします。

自分の会で確かめる3つの質問

  1. 次の発送の「送る相手」を、名簿の正本から今すぐ抜き出せますか?(前回のリストを使い回していませんか)
  2. 前回の発送で、「送ったはずの人数」と「名簿で送った記録がある人数」は合っていますか?
  3. 最近戻ってきた郵便の方は、名簿のどこを見ればわかりますか?

1つでも答えに詰まる場合は、名簿に列を足すだけで変わる余地があります。

どの列を足せばよいか、今の発送のどこに時間がかかっているかを一緒に整理したい場合は、River Techの 学会・研究会の事務局向けのご案内 にある「棚卸し診断」(オンライン45分・15,000円(税込))をご利用いただけます。発送の流れと会費の記録、名簿のつながりをうかがい、手間がかかっている場所を「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。紙の郵送も、今の名簿も、そのまま活かす前提です。

よくある質問

宛名ラベルは、専用のソフトがないと作れませんか?

専用のソフトがなくても作れます。ExcelやGoogle スプレッドシートの名簿を元に、Wordの差し込み印刷でラベル用紙に合わせて印刷するのが一般的です。ラベル用紙のメーカーが無料の作成ソフトを用意していることもあります。

宅配便の伝票を、名簿からまとめて作ることはできますか?

宅配便各社の法人・事業者向けの伝票発行サービスには、表のデータを取り込んで伝票をまとめて作る機能があるのが一般的です。ただし、列の順番や文字数の上限、ファイルの形式は各社で異なるため、各社の取り込み形式を確認してから名簿の列を合わせてください。

郵便が「宛所不明」で戻ってきた会員は、退会扱いにしてよいですか?

戻ってきたことだけで退会扱いにするのは避けた方が安全です。名簿に戻った日と理由を記録して次回の発送を止め、メールなど別の連絡先で住所を確かめます。連絡がつかない場合の扱いは、会則や規程で決めておくと迷いません。

発送作業を印刷会社や発送代行に頼むとき、名簿はどう渡せばよいですか?

名簿をまるごと渡さず、発送に必要な列(郵便番号・住所・氏名・送付先の名前など)だけを抜き出したファイルを渡します。メールの添付ではなく、決まった受け渡しの方法を使い、作業が終わったら相手側でも消してもらうよう取り決めておくと安心です。

学会・研究会の事務局の方へ

今のやり方を活かして、事務局の手間をひとつずつ減らします。

ホームページ・会員ページ・動画配信・申込受付・会費・名簿まで、今お使いの表を活かしてつなぎます。まずは棚卸し診断(オンライン45分・15,000円(税込))で、今の事務作業を「手間の地図」1枚にまとめてお渡しします。