学会事務局への問い合わせを減らす|よくある質問ページの作り方
学会・研究会の事務局に届く問い合わせは、実は同じ内容の繰り返しが多いものです。この記事では、よくある質問ページ(FAQページ)で問い合わせを減らす手順を、「届いた問い合わせを分ける」「質問と回答を書く」「見つけやすい場所に置く」「古くならないよう見直す」の順にまとめます。
このテーマのご案内:学会・研究会の事務局の方へ(事務局の仕組みづくり)
結論:先に「どの問い合わせが多いか」を数える
先に結論です。
- 質問を考える前に、実際に届いた問い合わせを数える。 想像で作ったFAQは、読まれません
- 問い合わせは「ホームページを見れば答えが出るもの」「事務局に確認が要るもの」「お願いごと」の3つに分ける。 FAQで減らせるのは、最初の1つです
- 質問は会員が検索する言葉で書く。 会の内部の言い方は、書き換えます
- 回答は短く結論から書き、必要なら手続きのページへリンクする。 同じ内容を2か所に書くと、片方だけ古くなります
- 見直しの担当と時期を決める。 古いFAQは、ないよりも問い合わせを増やします
手順1:届いた問い合わせを一覧にする
最初にやるのは、直近3か月ほどの問い合わせを書き出すことです。メール、電話のメモ、会員からのお問い合わせフォームなど、届く経路をすべて見ます。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 内容 | 質問の要点を1行で(例:「会費の振込先はどこか」) |
| 回数 | その月に何回届いたか |
| 答えがある場所 | ホームページのどこに書いてあるか(書いていなければ「なし」) |
| 種類 | 次の3つのどれか |
問い合わせの3つの種類
| 種類 | 例 | FAQで減らせるか |
|---|---|---|
| 調べれば答えが出るもの | 年会費の納め方、大会の日程、入会の手続きの流れ | 減らせる。FAQの中心になる |
| 事務局で確認しないと答えられないもの | 「自分は今年度の会費を納めているか」「登録内容を変えたい」 | 減らしにくい。確認の手順と窓口をFAQに書くだけにする |
| お願いごと・個別の相談 | 退会の連絡、住所変更、領収書の再発行 | 減らしにくい。手続きの案内(申込フォームへのリンク)に誘導する |
この表を作ると、「答えがホームページのどこにもない」問い合わせが見つかります。それは、FAQを作る前にホームページ本体へ書き足すべき情報です。FAQは、本体の情報の言い換えと入口であって、本体の代わりではありません。
手順2:質問を、会員の言葉で書く
会の内部で使っている言葉は、会員の言葉とずれていることがあります。
| 内部の言い方 | 会員が探す言い方の例 |
|---|---|
| 年度会費の納入について | 会費はいつまでに、どう払えばいいですか? |
| 会員情報の変更届 | 住所や所属が変わったときはどうすればいいですか? |
| 総会の議決権について | 総会に出られないときは、どうすればいいですか? |
質問は「〜について」ではなく、「〜はどうすればいいですか?」「〜はできますか?」と、疑問の文で書くと、検索で見つかりやすくなります。会員が実際にメールに書いてきた言い回しを、そのまま使うのがいちばんです。
手順3:回答は「結論→理由→次の行動」で短く
回答は、次の順番で書くと読みやすくなります。
- 結論(はい/いいえ、または具体的な方法)を最初の1文で
- 理由や条件を1〜2文で
- 次にすること(フォームへのリンク、事務局への連絡方法)を1文で
例:
Q. 会費の領収書はもらえますか? A. はい、お申し込みいただければ発行します。会費の支払いが確認できたあと、お申し込みから数日かかる場合があります。領収書の申込フォームから、宛名と希望の発行時期をお知らせください。
回答の中に日付や金額を書くときは、毎年変わるものは本文に直接書かず、それを載せているページ(会費の案内ページなど)へリンクします。同じ内容を2か所に書くと、片方だけ直し忘れるためです。
書かない方がよいこと
- 個別の会員の状況に触れる内容(「〇〇さんの場合は」など)
- 会則や個人情報の扱いなど、役員会で決まっていないことの断定
- 法律に関わる説明の断定(必要なら、確認先を案内する書き方にします)
手順4:置き場所と並べ方を決める
FAQを作っても、見つけられなければ問い合わせは減りません。
置き場所
| 場所 | 理由 |
|---|---|
| お問い合わせページのいちばん上 | 問い合わせようとした人の目にいちばん入る場所 |
| 入会案内・会費案内・大会案内の各ページの末尾 | そのページを読んでいる人に、関係する質問だけを見せられる |
| ヘッダーまたはフッターのメニュー | 探しに来た人が迷わない |
お問い合わせフォームの直前に「よくある質問は、こちらで解決することがあります」と一言添えるだけでも、効果が出ることがあります。
並べ方
- 問い合わせが多い順に、上から並べる
- 質問が10問を超えたら、見出しで「入会」「会費」「会員ページ」「大会・研修」などに分ける
- 一つの質問は一つの内容に絞る(「入会と退会について」のようにまとめない)
会員ページのログインに関する質問が多い会は、学会の会員ページのログインで困らないためにで、本人確認とパスワード忘れの扱いを整理しています。入会の申込に関する質問は、学会の入会申込フォームに入れる項目とあわせて見直すと、FAQで答える内容とフォームの案内文が揃います。
手順5:古くならない仕組みを作る
FAQでいちばん多い失敗は、書いたまま放っておくことです。会費の期限や大会の日程が変わったのに、FAQだけ前の年のままだと、かえって問い合わせが増えます。
| 決めること | 決め方の例 |
|---|---|
| 見直しの担当 | 事務局の担当者に加え、代わりの1人も決める |
| 見直しの時期 | 総会のあと、会費の請求の前、大会の案内の前など、情報が変わる時期 |
| 見直しの方法 | 直近の問い合わせを見て、「FAQにあるのに届いた」ものがないか確かめる |
| 日付の表示 | 回答に「最終更新:年月」を入れる |
見直しの時期は、学会事務局の年間スケジュール表に「FAQの見直し」の行として入れておくと、担当が替わっても残ります。事務局の担当が替わるときは、問い合わせの一覧表とFAQの見直しの手順も、引き継ぎの資料に含めてください。
自分の会で確かめる3つの質問
- 直近3か月に、同じ内容の問い合わせは何回届きましたか? 3回以上同じ内容があれば、その質問からFAQにする価値があります
- その答えは、ホームページのどこかに書いてありますか? なければ、FAQの前に、本体のページへ書き足します
- FAQを見直す人と時期は決まっていますか? 決まっていなければ、作る前に決めておきます
事務局の手間の地図を作ってみる
問い合わせの一覧を作ってみると、「質問が多い」というより、「同じ作業を何度も案内している」ことに気づく会が少なくありません。その場合は、FAQで答える以前に、申込の流れや名簿の持ち方を見直した方が、手間が早く減ることがあります。
学会・研究会の事務局のお悩みと、River Techのお手伝いの内容は学会・研究会の事務局向けのページにまとめています。どこから手を付けるか迷うときは、棚卸し診断(オンライン45分・15,000円(税込)・「手間の地図」1枚)で、問い合わせや作業の流れを一緒に整理することもできます。まずはこの記事の手順1で、問い合わせの一覧を作ってみてください。
よくある質問
よくある質問ページには、最初に何問くらい載せればよいですか?
10問前後から始めるのが無理のない目安です。最初から網羅しようとせず、直近の数か月に実際に届いた問い合わせのうち、回数の多いものから載せます。あとから増やす前提で構いません。
問い合わせの内容を記録していない場合は、どう始めればよいですか?
受信箱や電話のメモを見返して、直近3か月分を「内容」「回数」の2列の一覧表に書き出すところから始めます。それが難しければ、今日から1か月、届いた問い合わせの種類だけを1行ずつ記録します。
質問は、会員の立場別に分けた方がよいですか?
会員数が少なく質問が10問程度なら、1ページにまとめて見出しで分ければ十分です。質問が30問を超えるようなら、「入会について」「会費について」など、お願いごとの種類で分けると探しやすくなります。
回答に書いた内容が変わったときは、どうすればよいですか?
回答の下に「最終更新:年月」を入れておき、会則・会費・日程が変わったときに見直す担当者を決めます。年間スケジュール表に「よくある質問の見直し」の行を入れておくと、忘れにくくなります。