学会事務局への問い合わせを減らす|よくある質問ページの作り方

学会・研究会の事務局公開 River Tech合同会社

学会・研究会の事務局に届く問い合わせは、実は同じ内容の繰り返しが多いものです。この記事では、よくある質問ページ(FAQページ)で問い合わせを減らす手順を、「届いた問い合わせを分ける」「質問と回答を書く」「見つけやすい場所に置く」「古くならないよう見直す」の順にまとめます。

このテーマのご案内:学会・研究会の事務局の方へ(事務局の仕組みづくり)

結論:先に「どの問い合わせが多いか」を数える

先に結論です。

  1. 質問を考える前に、実際に届いた問い合わせを数える。 想像で作ったFAQは、読まれません
  2. 問い合わせは「ホームページを見れば答えが出るもの」「事務局に確認が要るもの」「お願いごと」の3つに分ける。 FAQで減らせるのは、最初の1つです
  3. 質問は会員が検索する言葉で書く。 会の内部の言い方は、書き換えます
  4. 回答は短く結論から書き、必要なら手続きのページへリンクする。 同じ内容を2か所に書くと、片方だけ古くなります
  5. 見直しの担当と時期を決める。 古いFAQは、ないよりも問い合わせを増やします

手順1:届いた問い合わせを一覧にする

最初にやるのは、直近3か月ほどの問い合わせを書き出すことです。メール、電話のメモ、会員からのお問い合わせフォームなど、届く経路をすべて見ます。

列 書くこと
内容 質問の要点を1行で(例:「会費の振込先はどこか」)
回数 その月に何回届いたか
答えがある場所 ホームページのどこに書いてあるか(書いていなければ「なし」)
種類 次の3つのどれか

問い合わせの3つの種類

種類 例 FAQで減らせるか
調べれば答えが出るもの 年会費の納め方、大会の日程、入会の手続きの流れ 減らせる。FAQの中心になる
事務局で確認しないと答えられないもの 「自分は今年度の会費を納めているか」「登録内容を変えたい」 減らしにくい。確認の手順と窓口をFAQに書くだけにする
お願いごと・個別の相談 退会の連絡、住所変更、領収書の再発行 減らしにくい。手続きの案内(申込フォームへのリンク)に誘導する

この表を作ると、「答えがホームページのどこにもない」問い合わせが見つかります。それは、FAQを作る前にホームページ本体へ書き足すべき情報です。FAQは、本体の情報の言い換えと入口であって、本体の代わりではありません。

手順2:質問を、会員の言葉で書く

会の内部で使っている言葉は、会員の言葉とずれていることがあります。

内部の言い方 会員が探す言い方の例
年度会費の納入について 会費はいつまでに、どう払えばいいですか?
会員情報の変更届 住所や所属が変わったときはどうすればいいですか?
総会の議決権について 総会に出られないときは、どうすればいいですか?

質問は「〜について」ではなく、「〜はどうすればいいですか?」「〜はできますか?」と、疑問の文で書くと、検索で見つかりやすくなります。会員が実際にメールに書いてきた言い回しを、そのまま使うのがいちばんです。

手順3:回答は「結論→理由→次の行動」で短く

回答は、次の順番で書くと読みやすくなります。

  1. 結論(はい/いいえ、または具体的な方法)を最初の1文で
  2. 理由や条件を1〜2文で
  3. 次にすること(フォームへのリンク、事務局への連絡方法)を1文で

例:

Q. 会費の領収書はもらえますか? A. はい、お申し込みいただければ発行します。会費の支払いが確認できたあと、お申し込みから数日かかる場合があります。領収書の申込フォームから、宛名と希望の発行時期をお知らせください。

回答の中に日付や金額を書くときは、毎年変わるものは本文に直接書かず、それを載せているページ(会費の案内ページなど)へリンクします。同じ内容を2か所に書くと、片方だけ直し忘れるためです。

書かない方がよいこと

  • 個別の会員の状況に触れる内容(「〇〇さんの場合は」など)
  • 会則や個人情報の扱いなど、役員会で決まっていないことの断定
  • 法律に関わる説明の断定(必要なら、確認先を案内する書き方にします)

手順4:置き場所と並べ方を決める

FAQを作っても、見つけられなければ問い合わせは減りません。

置き場所

場所 理由
お問い合わせページのいちばん上 問い合わせようとした人の目にいちばん入る場所
入会案内・会費案内・大会案内の各ページの末尾 そのページを読んでいる人に、関係する質問だけを見せられる
ヘッダーまたはフッターのメニュー 探しに来た人が迷わない

お問い合わせフォームの直前に「よくある質問は、こちらで解決することがあります」と一言添えるだけでも、効果が出ることがあります。

並べ方

  • 問い合わせが多い順に、上から並べる
  • 質問が10問を超えたら、見出しで「入会」「会費」「会員ページ」「大会・研修」などに分ける
  • 一つの質問は一つの内容に絞る(「入会と退会について」のようにまとめない)

会員ページのログインに関する質問が多い会は、学会の会員ページのログインで困らないためにで、本人確認とパスワード忘れの扱いを整理しています。入会の申込に関する質問は、学会の入会申込フォームに入れる項目とあわせて見直すと、FAQで答える内容とフォームの案内文が揃います。

手順5:古くならない仕組みを作る

FAQでいちばん多い失敗は、書いたまま放っておくことです。会費の期限や大会の日程が変わったのに、FAQだけ前の年のままだと、かえって問い合わせが増えます。

決めること 決め方の例
見直しの担当 事務局の担当者に加え、代わりの1人も決める
見直しの時期 総会のあと、会費の請求の前、大会の案内の前など、情報が変わる時期
見直しの方法 直近の問い合わせを見て、「FAQにあるのに届いた」ものがないか確かめる
日付の表示 回答に「最終更新:年月」を入れる

見直しの時期は、学会事務局の年間スケジュール表に「FAQの見直し」の行として入れておくと、担当が替わっても残ります。事務局の担当が替わるときは、問い合わせの一覧表とFAQの見直しの手順も、引き継ぎの資料に含めてください。

自分の会で確かめる3つの質問

  1. 直近3か月に、同じ内容の問い合わせは何回届きましたか? 3回以上同じ内容があれば、その質問からFAQにする価値があります
  2. その答えは、ホームページのどこかに書いてありますか? なければ、FAQの前に、本体のページへ書き足します
  3. FAQを見直す人と時期は決まっていますか? 決まっていなければ、作る前に決めておきます

事務局の手間の地図を作ってみる

問い合わせの一覧を作ってみると、「質問が多い」というより、「同じ作業を何度も案内している」ことに気づく会が少なくありません。その場合は、FAQで答える以前に、申込の流れや名簿の持ち方を見直した方が、手間が早く減ることがあります。

学会・研究会の事務局のお悩みと、River Techのお手伝いの内容は学会・研究会の事務局向けのページにまとめています。どこから手を付けるか迷うときは、棚卸し診断(オンライン45分・15,000円(税込)・「手間の地図」1枚)で、問い合わせや作業の流れを一緒に整理することもできます。まずはこの記事の手順1で、問い合わせの一覧を作ってみてください。

よくある質問

よくある質問ページには、最初に何問くらい載せればよいですか?

10問前後から始めるのが無理のない目安です。最初から網羅しようとせず、直近の数か月に実際に届いた問い合わせのうち、回数の多いものから載せます。あとから増やす前提で構いません。

問い合わせの内容を記録していない場合は、どう始めればよいですか?

受信箱や電話のメモを見返して、直近3か月分を「内容」「回数」の2列の一覧表に書き出すところから始めます。それが難しければ、今日から1か月、届いた問い合わせの種類だけを1行ずつ記録します。

質問は、会員の立場別に分けた方がよいですか?

会員数が少なく質問が10問程度なら、1ページにまとめて見出しで分ければ十分です。質問が30問を超えるようなら、「入会について」「会費について」など、お願いごとの種類で分けると探しやすくなります。

回答に書いた内容が変わったときは、どうすればよいですか?

回答の下に「最終更新:年月」を入れておき、会則・会費・日程が変わったときに見直す担当者を決めます。年間スケジュール表に「よくある質問の見直し」の行を入れておくと、忘れにくくなります。

学会・研究会の事務局の方へ

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