ホームページを自分で更新し続けるには|担当者が替わっても回る仕組み
団体のホームページの更新が止まる理由は、多くの場合、操作の難しさではなく「更新のしかたを知っている人が1人しかいない」ことです。この記事では、担当者が替わっても自分たちで更新を続けられるように、更新するものの決め方、更新のやり方の選び方(比較表つき)、1枚のマニュアルの書き方、アカウントの名義、引き継ぎのチェックリストを順にまとめます。
結論:更新を「人」ではなく「決まりごと」にひもづける
先に結論をまとめます。
- 更新するものを書き出し、頻度と担当を決める(気づいた人がやる、をやめる)
- 更新のやり方は、頻度と担当の方がふだん使う道具で選ぶ(CMS・スプレッドシート連携・制作会社への依頼)
- 手順は1枚のマニュアルにまとめる(ログイン情報は書かず、保管場所だけを書く)
- アカウント・ドメイン・サーバーは団体の名義と、団体のメールアドレスで持つ
- 担当が替わるときは、チェックリストで引き継ぐ
この5つがそろっていれば、担当の方が替わっても、新しい方が同じ手順で更新を続けられます。
なぜ担当者が替わると更新が止まるのか
更新が止まっているホームページには、次のような共通点がよく見られます。
- 更新の操作を知っているのが、前の担当の方だけだった
- 管理画面のログイン情報が、前の担当の方の個人のメールやスマホにひもづいていた
- 制作会社への頼み方(連絡先・費用・原稿の渡し方)が引き継がれていなかった
- 何を、いつ更新するかが決まっておらず、「気づいた人がやる」形だった
どれも、操作そのものの難しさとは別の問題です。逆にいえば、ここを先に整えておけば、更新は続けやすくなります。
手順1:更新するものと頻度を書き出す
まず、ホームページの中で「変わる情報」を書き出します。あわせて、その情報の正本(元になる、いちばん新しい情報がある場所)を決めておくのがポイントです。
| 更新するもの | 頻度の例 | 正本(元になる情報) | 遅れたときに起きやすいこと |
|---|---|---|---|
| お知らせ | 必要なときに | 理事会の決定・事務局のメモ | 活動していないように見える |
| 行事・大会の案内 | 開催ごと | 大会担当の方がまとめた要項 | 申込の場所がわからない |
| 会員・役員の一覧 | 変更があったとき | 名簿 | 退会した方の名前が残る |
| 会費・規約 | 改定のとき | 総会などの決定 | 古い金額のまま案内してしまう |
| 団体の概要・連絡先 | 年に1回の見直し | 事務局 | 古い住所や電話番号が残る |
表ができたら、行ごとに「誰が更新するか」を書き込みます。担当の欄が埋まらない行が、止まりやすいところです。
名簿のように、ホームページの外にも同じ情報がある場合は、ホームページ側で別に管理しないようにします。二重に持つと、どちらかが古くなりがちです。リニューアル(作り直し)を考えている場合は、ホームページをリニューアルする前のチェックリストもあわせてご覧ください。
手順2:更新のやり方を選ぶ
更新のやり方には、大きく分けて3つあります。ひとつに決める必要はなく、更新するものごとに使い分けるのが一般的です。
CMS(管理画面から更新する)
CMS(コンテンツ管理システム。ホームページの文章や写真を、管理画面から書き換えられる仕組み)を使う方法です。ブログを書くような感覚で、お知らせを入力して公開できるものが多くあります。できることや画面のわかりやすさは、CMSの種類や作り方によって異なります。一般に、CMS本体や追加の部品を新しい版に保つ作業(保守)が必要になる点も覚えておきたいところです。
スプレッドシート連携(表を直すとページが変わる)
Excelのような表(スプレッドシート)を直すと、ホームページの内容が変わるように作る方法です。会員一覧や行事の一覧のように、「同じ形の行が並ぶもの」に向いています。担当の方がふだんから表を使っているなら、新しく覚える操作は少なくて済みます。
制作会社に依頼する
原稿を制作会社に送り、更新してもらう方法です。自分たちで操作を覚える必要はありませんが、反映までに待ち時間があり、費用は契約の内容によって変わります。ページの構成を変える、新しいページを足すといった作業は、この方法の方が安心なことが多いです。
3つのやり方の比べ方
| CMS | スプレッドシート連携 | 制作会社に依頼 | |
|---|---|---|---|
| 向いている更新 | お知らせ、写真つきの記事 | 会員一覧・行事一覧など、一覧の形のもの | 構成の変更、新しいページ、年に数回の更新 |
| 事務局の作業 | 管理画面にログインして入力する | 表に1行足す・書き直す | 原稿を送り、仕上がりを確かめる |
| 覚えること | 管理画面の操作 | 表のどの列に何を書くか | 頼み方と連絡先 |
| 引き継ぐもの | アカウントと操作の手順 | 表の共有の権限と、列の決まり | 連絡先と契約の内容 |
| 気をつける点 | 保守の担当を決めておく | 列を勝手に増やしたり消したりしない | 急ぎの更新に間に合うか確かめる |
選ぶときの目安は次のとおりです。
- 更新が月に何度もある:自分たちで更新できる形(CMSか表)にする
- 名簿など、ほかにも同じ情報がある:表と連携させ、正本を1つにする
- 更新が年に数回:制作会社への依頼でも足りることがある
- 担当の方がふだんExcelを使っている:表で更新できる形にすると覚えることが少ない
小さな団体で、お知らせと連絡先くらいしか更新しない場合は、既製のホームページ作成サービスで十分なこともあります。
手順3:1枚のマニュアルを書く
マニュアルは、長く書くほど読まれなくなります。更新するもの1つにつき1枚を目安に、次の6つを書いておきます。
- 何を更新するか:手順1の表の、どの行のことか
- どこから更新するか:管理画面や表のURLと、ログイン情報の保管場所(パスワードそのものは書かない)
- 操作の手順:画面の写真をつけて、3〜5つの手順にまとめる
- 公開前の確認:スマホで見る、日付が正しいか、リンクが開くか
- 困ったときの連絡先:制作会社や、前の担当の方
- やってはいけないこと:表の列を消さない、過去のお知らせを消さない、など
たとえば、お知らせの更新なら、次のくらいの分量で十分です。
| 項目 | 書く内容(例) |
|---|---|
| 更新するもの | トップページの「お知らせ」 |
| どこから | 管理画面のURL/ログイン情報は事務局の保管場所にあります |
| 手順 | ①ログイン ②「新規追加」を押す ③日付・題名・本文を入れる ④下書き保存してスマホで確認 ⑤公開する |
| 公開前の確認 | 日付、申込のリンク、スマホでの見え方 |
| 困ったとき | 制作会社の担当窓口(連絡先) |
書いたマニュアルは、まだ操作をしたことがない方に実際に使ってもらい、つまずいたところを書き足すと、ぐっと使いやすくなります。マニュアルにも「最後に見直した日」を書いておきましょう。
手順4:アカウント・ドメイン・サーバーを団体の名義にする
更新の手順がわかっていても、ログインできなければ更新はできません。ホームページに関わるアカウントを、一覧にしておきます。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| ドメイン(サイトの住所) | 名義、管理している会社、更新の期限、自動更新かどうか |
| サーバー(データを置く場所) | 契約している人、支払いの方法 |
| 管理画面(CMS) | ログインに使っているメールアドレス、管理者は誰か |
| 表・フォームのアカウント | 持ち主は団体か、個人か |
| 制作会社との契約 | 更新・保守をどこまで頼んでいるか、窓口はどこか |
担当が替わるときによく起きるのは、次のようなことです。
- 個人のメールアドレスで登録していた:更新期限のお知らせが、前の担当の方にしか届かない
- 支払いが個人のクレジットカードだった:カードの期限切れや解約で、支払いが止まる
- 2段階認証(ログインのときにスマホへ届く確認)が個人のスマホだった:新しい担当の方がログインできない
これを防ぐには、登録するメールアドレスを団体の共有のアドレス(事務局用など)にし、管理者を2人以上にしておくのが安心です。ドメインの名義の確かめ方や、名義を移すときの進め方は、リニューアル前のチェックリストの8項目めでも紹介しています。
担当者が替わるときの引き継ぎチェックリスト
引き継ぐ前に
- 手順1の表(更新するもの・頻度・担当)が、今の状態になっているか
- 手順4のアカウントの一覧がそろい、団体の名義になっているか
- マニュアルが今の画面と合っているか
引き継ぐときに
- 新しい担当の方が、自分でログインできることを確かめる
- お知らせなどを1件、新しい担当の方に実際に更新してもらう
- 制作会社に、担当が替わることと新しい連絡先を伝える
- 管理者の権限を新しい担当の方に追加し、必要ならパスワードを変える
引き継いだあとに
- 前の担当の方の権限を外す(すぐに外せない場合は、外す日を決めておく)
- 次の更新を、マニュアルだけを見て行えたかを確かめ、つまずいたところを書き足す
引き継ぎは、前の担当の方がまだ連絡のとれるうちに済ませるのがいちばん楽です。任期の終わりが決まっている団体では、改選の時期に合わせて毎年このチェックリストを見直すようにしておくと、急な交代でも慌てずに済みます。
River Techの例
River Techのホームページ制作では、公開後の更新・運用も考えたうえで構成を決めています。この記事の内容に近い例を紹介します。
- JIP 公式ホームページ:歯科医師の会員制医療教育団体の公式ホームページです。名簿のスプレッドシートから、会員一覧(約250名)をサイトへ自動で反映しています。会員一覧は、名簿を正本にして、ホームページ側では別に管理しない形です
学会・研究会などの事務局向けには、名簿を直すだけで会員一覧やお知らせが更新され、退会された方は自動で外れるホームページもつくっています(学会・研究会の事務局の方へ)。そのときは、入力する場所に色をつけ、画面つきのマニュアルをお渡ししています。データはすべて団体様のアカウントに残り、契約が終わってもそのままお使いいただけます。
既製のサービスの方が合う場合は、正直にそちらをおすすめしています。「今のホームページを、自分たちで更新できる形にしたい」という段階からでもご相談いただけます。
よくある質問
担当者が急に替わり、ホームページの更新のしかたがわかりません。何から始めればよいですか?
まず、ドメイン・サーバー・管理画面などのアカウントを書き出し、団体としてログインできるかを確かめます。次に、作った方(前の担当者や制作会社)と連絡がとれるかを確認します。更新の操作を覚えるのは、そのあとで大丈夫です。
パソコンが得意な人がいなくても、ホームページを自分で更新できますか?
更新するものを絞り、操作する場所と手順を決めておけば、できることは多いです。一般に、お知らせのように文章と日付だけのものは自分で、ページの構成を変えるような作業は制作会社に頼む、と分けると続けやすくなります。
お知らせだけでも、簡単に更新できるようにしたいです。
管理画面(CMS)から入力する方法や、表に1行足すとお知らせに出る仕組みにする方法などがあります。どちらが合うかは、更新の頻度と、担当の方がふだん使っている道具で選ぶのがおすすめです。
管理画面のパスワードを、マニュアルに書いておいてもよいですか?
おすすめしません。マニュアルには「どこに保管しているか」だけを書き、パスワードそのものは団体で決めた安全な場所に分けて保管します。担当の方が替わったときは、パスワードの変更もあわせて行うと安心です。
制作会社を替えることになっても、今のホームページは使い続けられますか?
ドメインやサーバー、管理画面のアカウントが団体の名義になっていれば、引き継ぎはしやすくなります。制作会社の名義になっている場合は、移す手続きや費用が必要になることがあるため、まず契約の内容を確かめてください。