スプレッドシートの自動化入門|フォームと自動メールで申込受付を楽に

AI・業務の自動化公開 River Tech合同会社

申込・注文・問い合わせの受付は、多くの場合「届いたメールを読んで、表に書き写して、返信を書いて、担当者に知らせる」という手作業のくり返しです。この記事では、フォームとスプレッドシート、自動で届くメールを組み合わせて、この書き写しを減らす考え方と手順をまとめます。パソコンが得意でなくても判断できるよう、最初に自動化する作業の選び方と、つくる前に決めておきたい注意点を中心にご紹介します。

結論:最初は「受付の流れ」1本だけを自動にする

先に結論をまとめます。

  1. 自動化するのは「毎回同じ手順で、判断がいらない作業」から(書き写し・控えの送信・担当者へのお知らせ)
  2. 最初は1つの受付だけ(研修会の申込、商品の注文、問い合わせのどれか1つ)
  3. 流れは「フォーム → 表 → 確認メール → 担当者へのお知らせ」の4つで考える
  4. つくる前に「誰が直すか」「誰が見られるか」「止まったらどう気づくか」を決める
  5. 決済や会員ページまで一度にそろえたいなら、既製サービスも比べる

全部を自動にする必要はありません。人が確かめるべきところは残したまま、書き写しと連絡の手間だけを減らすのが、続けやすい形です。

自動化しやすい作業、しにくい作業

受付の仕事を、自動にしやすいものと、人が判断した方がよいものに分けてみます。

作業 自動にしやすいか 理由
届いた内容を表に書き写す しやすい 毎回同じ項目を同じ場所に入れるだけ
受付の控えを申込者に送る しやすい 文面がほぼ決まっている
担当者に「新しい受付」を知らせる しやすい 宛先と内容が決まっている
受付番号をつける しやすい 決まった規則でつけられる
定員に達したら受付を止める 条件しだい 数え方の決まりがはっきりしていればできる
内容を見て、受けるかどうか決める しにくい 人の判断が要る
個別の質問に答える しにくい 内容が毎回違う

上の4つは、一般に自動化の効果が出やすい作業です。下の2つは、自動にするより「判断しやすいように表を整える」方が役に立ちます。

よくある流れ:フォーム → 表 → 確認メール → お知らせ

研修会の申込を例に、自動化したあとの流れを言葉で描いてみます。

  1. 申込者がホームページのフォームに、氏名・所属・メールアドレス・参加する回を入力して送信する
  2. 送信された内容が、スプレッドシートの「申込」シートに1行ずつ自動で記録される。受付日時と受付番号も一緒に入る
  3. 申込者に「お申し込みを受け付けました」という確認メールが自動で届く。受付番号と申込内容、問い合わせ先が書いてある
  4. 事務局の担当者に「新しい申込が1件あります」というお知らせが届く
  5. 担当者は表を開いて内容を確かめ、「確認済み」の列に印をつける。参加費の案内など、人が判断して送るものはここから送る

商品の注文や問い合わせでも、形はほとんど同じです。注文なら「決済が終わったら表に記録」、問い合わせなら「内容の種類によって知らせる担当者を変える」といった違いがある程度です。

どこまでが設定だけでできるか

Google フォームを使う場合、回答をスプレッドシートに記録すること、回答者に回答のコピーを送ること、新しい回答があったときに作成者へメールで知らせることは、多くの場合フォームの設定でできます。ただし、送られる文面を自由に決めたり、受付番号を入れたり、担当者を出し分けたりするのは設定だけでは難しいことがあります。

そうしたときに使われるのが、Google Apps Script(GAS。Googleのサービスを小さなプログラムで動かす仕組み)です。「フォームが送信されたら、表の行を読んで、決まった文面のメールを送る」といった処理を足せます。どの機能がどこまで使えるかは変わることがあるため、つくる前にGoogleの公式の案内で今の仕様を確かめてください。

つくる手順

いきなりプログラムを書くより、次の順に進めるのがおすすめです。

  1. 今の受付を書き出す。 メールが届いてから受付が終わるまで、誰が何をしているかを順番に書きます
  2. フォームの項目を決める。 表に必要な項目だけにしぼります。聞きすぎると、入力する方も管理する方も大変になります
  3. 表の形を決める。 1行に1件、1列に1つの情報。「確認済み」「メール送信済み」など、人や仕組みが印をつける列も用意します
  4. 確認メールの文面を決める。 受付番号、申込内容、届かないときの問い合わせ先、次に何が起きるか(「3日以内にご案内します」など、守れる内容だけ)を書きます
  5. お知らせの宛先を決める。 個人のアドレスより、事務局で共有しているアドレスに送る方が、担当の交代に強くなります
  6. テスト用の申込で試す。 自分たちで何度か送り、表の記録とメールの中身を確かめます
  7. 小さく始めて、記録をとる。 1つの受付で使い始め、前と比べて手間がどう変わったかを書きとめます

名簿や会費の管理まで含めて表を整えたい場合は、学会事務局の効率化|名簿と会費管理はスプレッドシートのままで もあわせてご覧ください。

気をつけたい5つのこと

受付の自動化は、動いているあいだは便利ですが、止まったり間違えたりしたときに気づきにくいという面があります。つくる前に、次の5つを決めておきます。

1. 誰が直せるか

項目を1つ増やしたい、文面を変えたいということは、使い始めると必ず出てきます。そのときに直せる人が、つくった本人しかいないと困ります。どこに何があるか(フォーム・表・プログラム・送信先)を1枚のメモにまとめ、直せる人を2人以上にしておくと安心です。

2. 権限(誰が見られるか・誰の名前で動くか)

申込の表を共有するのは、受付に関わる方だけにします。「リンクを知っている全員が見られる」設定にしないことが前提です。また、GASなどの仕組みは、設定した人のアカウントで動くことが一般的です。その方が異動や退職でアカウントを使わなくなると止まることがあるため、できるだけ組織として管理できるアカウントでつくります。

3. 個人情報

フォームで集めるのは、氏名やメールアドレスなどの個人情報です。必要のない項目は聞かない、表を手元に何部も保存しない、確認メールに他の方の情報が入らないことを確かめる、といった点に気をつけます。AIなどの外部のサービスに申込の内容を入力するかどうかも、事務局で先に決めておきましょう。法令に関わる判断が必要な場合は、専門家への確認をおすすめします。

4. 送信の上限

自動で送るメールには、1日に送れる数の上限があります。上限はアカウントの種類によって違い、変わることもあるため、Googleの公式の案内で今の数値を確かめてください。一度に多くの申込が来る受付や、全員に一斉に案内を送る使い方では、上限に届かないかを先に見積もっておきます。

5. 止まったときの気づき方

いちばん困るのは、仕組みが止まっていることに誰も気づかないことです。次のような工夫で、早めに気づけるようにします。

  • 表に「メール送信済み」の列をつくり、空欄の行がないかをときどき見る
  • 担当者へのお知らせが急に来なくなったら、表を直接確かめる
  • 仕組みが失敗したときに、事務局へメールで知らせる設定にしておく(GASには、自動で動く処理が失敗したときに知らせる設定があります)
  • 確認メールに「届かない場合はこちらへ」と問い合わせ先を書いておく

既製のサービスが合う場合

フォームと表で組む方法が、いつも正解とは限りません。申込受付や予約、ネットショップの既製サービスには、受付・決済・自動メール・管理画面が最初からそろっているものが多くあります。

状況 フォーム+表で組む 既製のサービス
今の表を活かして、書き写しと連絡だけ減らしたい 向いている 機能が余ることがある
決済・会員ページ・参加証の発行などを一度にそろえたい 1つずつ足すことになる 向いている
仕組みを直せる人が、事務局や協力者にいない 引き継ぎに工夫が要る 向いている
項目や流れが独自で、型に合わせにくい 向いている 合わせ方の検討が要る
一度にたくさんの申込やメールが来る 送信上限などを確かめる 料金体系と上限を確かめる

道具から選ぶのではなく、どの作業に時間がかかっているかから考えると、選び間違いが減ります。

River Techで手がけた例

River Techでも、フォームや表とメールをつなぐ仕組みをつくっています。

どの形が合うかは、業務の内容や扱う情報によって変わります。いちばん困っている作業から1つずつ試し、使えるようになるまで伴走する進め方は、AI導入支援・業務の自動化 でご紹介しています。

よくある質問

プログラムが書けなくても、受付の自動化はできますか?

フォームの回答を表に記録する、回答者に控えを送る、といったところまでは、多くの場合フォームの設定だけでできます。文面を自由に決めた確認メールや、条件によって知らせる相手を変える仕組みは、小さなプログラムを足すのが一般的です。その場合も、あとで誰が直すのかを先に決めておくことが大切です。

Google Apps Script(GAS)とは何ですか?

Googleのスプレッドシートやフォーム、Gmailなどを、小さなプログラムで動かすための仕組みです。「フォームが送信されたら、表に書いてメールを送る」といった決まった作業を自動にできます。使える機能や1日に動かせる量には上限があり、内容は変わることがあるため、使う前にGoogleの公式の案内で確かめてください。

自動で送るメールが届かないことはありますか?

あります。入力されたメールアドレスの打ち間違い、迷惑メールへの振り分け、1日に送れる数の上限に達した場合などです。確認メールには「届かない場合のご連絡先」を書き、表には送信できたかどうかの列をつくっておくと、届いていない方に気づきやすくなります。

自動化した仕組みは、担当者が替わっても使い続けられますか?

仕組みを個人のアカウントでつくると、その方が異動や退職でアカウントを使わなくなったときに止まることがあります。フォーム・表・プログラムは、できるだけ組織として管理できるアカウントで持ち、どこに何があるかを1枚のメモにまとめておくと、引き継ぎがしやすくなります。

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